ロドス島の中世都市とは
エーゲ海南東部に位置するロドス島。その中心都市であるロドス市は、ヨーロッパで最大級かつ最も保存状態の良い中世の城塞都市として知られています。聖ヨハネ騎士団が築いた堅固な城壁に囲まれた旧市街は、ゴシック様式の重厚な建築と、後に支配したオスマン帝国時代のイスラム建築が混在する独特の景観をなし、1988年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。
遺産の価値と登録基準
1309年から1523年まで、聖ヨハネ騎士団はロドス島を本拠地とし、イスラム勢力に対するキリスト教世界の防衛拠点として、島を要塞化しました。騎士団が去った後も、オスマン帝国、イタリアの支配を経て、様々な時代の建築様式が重層的に残されました。
- 登録基準(ii): ロドス島の要塞建築は、東地中海地域におけるキリスト教圏とイスラム教圏の軍事技術や芸術様式の交流を示す顕著な例です。ゴシック建築と現地の様式が融合した独自のスタイルが見られます。
- 登録基準(iv): 聖ヨハネ騎士団によって築かれた城壁と都市は、14世紀から15世紀にかけてのヨーロッパの軍事要塞都市の優れた典型例です。
- 登録基準(v): 上町(コラキオ)の騎士団地区と下町(ブルゴ)の市街地という二重構造は、中世ヨーロッパの社会階層を反映した都市計画の貴重な例です。
主な見どころ
- 騎士団長の宮殿: 騎士団の最高指導者である騎士団長の公邸兼要塞。圧倒的な存在感を放つ旧市街のシンボルです。
- 騎士団通り: 宮殿へと続く、石畳の美しい通り。沿道には騎士団を構成した各言語圏(ラング)の宿舎が並んでいます。
- ロドス考古学博物館(騎士団の病院): 15世紀に建てられた騎士団の施療院を改装した博物館。中世の建築様式を今に伝えています。
- 城壁: 全長約4kmにわたる堅固な城壁と堀。塔や城門が随所にあり、その上を歩いて散策することもできます。
- スレイマン・モスク: オスマン帝国による征服を記念して16世紀に建てられた、ピンク色のドームが特徴的なモスクです。
観光と保全
ロドス島の中世都市は、現在も多くの人々が生活する活気ある街であり、世界中から観光客が訪れます。ギリシャ政府は、歴史的建造物の修復と、観光と住民生活の調和を図りながら、この貴重な都市遺産の保全に努めています。