ゴンバデ・カーブースとは
ゴンバデ・カーブースは、イラン北東部のゴレスターン州にある記念墓塔で、2012年に世界文化遺産に登録されました。1006年にズィヤール朝の君主カーブース・イブン・ヴォシュムギールのために建設されたこの塔は、イスラム建築の傑作とされています。高さ約53メートルの壮大な煉瓦造りの塔は、その技術的な完成度とミニマルな美しさで知られ、中央アジアの遊牧民と古代イランの文明との文化的交流を象徴しています。
世界遺産登録基準
- (i) 焼成煉瓦のみを用いた革新的な構造と幾何学的なデザインは、人類の創造的才能を示す傑作です。
- (ii) イスラム世界における墓塔建築の初期の優れた例であり、その後のイラン、アナトリア、中央アジアの建築様式に大きな影響を与えました。
- (iii) 11世紀初頭の中央アジアにおけるイスラム文化の力と質を示す、現存する唯一の証拠です。
- (iv) 科学技術が発展した時代の建築様式を代表する顕著な例であり、特にその構造的安定性は特筆に値します。
遺産の価値
ゴンバデ・カーブースの価値は、その卓越した建築技術と歴史的意義にあります。1000年以上もの間、地震の多いこの地域でその姿を保ち続けていることは、当時の建築技術の高さを物語っています。また、イスラム初期の建築様式と中央アジアの遊牧民文化が融合したユニークなデザインは、文化交流の象徴として非常に重要です。シンプルな円筒形と円錐形の屋根が織りなす幾何学的な美しさは、訪れる人々を魅了します。
主な特徴
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 高さ | 基礎を含め約53メートル。煉瓦造りの塔としては世界で最も高いものの一つ。 |
| 構造 | 10個のフランジを持つ星型の平面と、円錐形の屋根を持つ焼成煉瓦造りの塔。 |
| 碑文 | 塔の基部に、建設年(イスラム暦397年)と施主カーブース王の名がクーフィー体で刻まれている。 |