概要
ストックレ邸は、ベルギーのブリュッセルにある個人邸宅で、2009年に世界文化遺産に登録されました。1905年から1911年にかけて、銀行家アドルフ・ストックレの依頼により、ウィーン分離派の建築家ヨーゼフ・ホフマンが設計しました。建築、内装、家具、庭園までが一体としてデザインされた「総合芸術(Gesamtkunstwerk)」の傑作とされています。
遺産の価値
ストックレ邸の価値は、20世紀の建築に大きな影響を与えた芸術運動の転換点に位置することにあります。アール・ヌーヴォーの有機的な曲線から、より幾何学的で直線的な構成へと移行する過渡期の様式を完璧な形で体現しています。外観は厳格な直線で構成されていますが、内部にはグスタフ・クリムトが手掛けた有名なモザイクフリーズ『生命の樹』をはじめ、最高級の素材を用いた豪華な装飾が施されており、建築と美術が見事に融合しています。
登録基準
この世界遺産は、以下の登録基準を満たして登録されました。
- (i) 人類の創造的才能を表現する傑作。
- (ii) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。