パーヌルル国立公園とは
パーヌルル国立公園は、オーストラリア西オーストラリア州のキンバリー地域に位置する自然保護区で、2003年に世界自然遺産に登録されました。約2,400平方キロメートルに及ぶ公園の最大の特徴は、「バングル・バングル」として知られる、黒とオレンジの縞模様を持つ蜂の巣状の砂岩ドーム群です。この地域は、ジャル族やギジャ族といった先住民アボリジニにとって文化的に重要な場所でもあります。
世界遺産としての価値
パーヌルル国立公園は、以下の2つの登録基準を満たしていると評価されています。
- 登録基準 (vii): 蜂の巣状に侵食された独特の砂岩ドーム群(コーンカルスト)が織りなす景観は、他に類を見ない傑出した自然美を誇ります。
- 登録基準 (viii): バングル・バングル山地は、約3億5000万年前のデボン紀の砂岩が2000万年かけて隆起と侵食を繰り返して形成されました。その形成過程は、地質学的に砂岩におけるカルスト地形の進化を示す顕著な見本です。
公園の自然
熱帯性のサバナ気候に属し、乾季(4月~10月)と雨季に分かれています。公園へのアクセスは乾季に限定されます。縞模様のドーム群は、シアノバクテリアの繁殖による黒い層と、鉄分が酸化したオレンジ色の層が交互に重なってできています。公園内には、固有種のヤシ(リヴィストナ・レグアイ)をはじめとする650種以上の植物や、130種以上の鳥類、ワラビーなどの哺乳類が生息する多様な生態系が維持されています。
観光と保全
公園はその隔絶された立地のため、1980年代まで広く知られていませんでした。現在では、四輪駆動車でのアクセスや遊覧飛行が主な観光手段となっています。訪問者数の制限や、自然環境への影響を最小限に抑えるための厳格なガイドラインが設けられており、脆弱な生態系と文化的景観の保全が図られています。
| 分類 | 代表的な種 |
|---|---|
| 動物 | ミミナガロックワラビー、オーストラリアクロカタサガイ、ゴイシウズラ |
| 植物 | リヴィストナ・レグアイ(固有ヤシ)、ユーカリ、アカシア |