本文へ移動
世界遺産ライブラリWORLD HERITAGE LIBRARY

WORLD HERITAGE

オーストラリア自然遺産2003年登録

パーヌルル国立公園

西オーストラリア州キンバリー地方にある自然遺産です。バングル・バングル山地の蜂の巣形の砂岩塔は、侵食と風化、微生物の働きが重なって生まれた黒と橙色の縞模様で知られます。

パーヌルル国立公園(オーストラリア)のイメージイラスト

ESSENTIAL FACTS

基本情報と登録基準

登録年
2003年
登録基準
(7)・(8)
種類
自然遺産
国・地域
オーストラリア

WHY IT MATTERS

この世界遺産について

オレンジ色と暗灰色の帯が重なる、蜂の巣のような岩の塔。西オーストラリア州のパーヌルル国立公園では、バングル・バングル山脈が独特の景観をつくっています。岩の形だけでなく、その表面に生きる微生物までが景観に関わっていることが、この場所の大きな特徴です。2003年に自然遺産として登録された公園を、砂岩の成り立ち、長い侵食の時間、縞模様を生む生命の働きから見ていきます。[1]

蜂の巣状の岩塔が広がる世界自然遺産

パーヌルル国立公園は、西オーストラリア州のキンバリー地域に位置します。世界遺産の登録面積は239,723ヘクタールで、中心的な特徴であるバングル・バングル山脈の全域を含んでいます。登録地の外側に設けられた緩衝地帯は79,602ヘクタールで、登録面積とは別に示される区域です。両者を混ぜると、世界遺産として登録された範囲を誤って理解してしまいます。[1]

ここで目を引くのは、丸みを帯びながら急な斜面をもつ岩塔が多数集まり、その間を狭い峡谷が切り込んでいることです。周囲の半乾燥の草原に対して、岩塊の高さと密集した形が際立ちます。一つの奇岩だけが価値をもつのではなく、塔、崖、峡谷、周辺の自然が組み合わさった地形全体を捉えることが重要です。[1]

石灰岩ではなく、砂岩に発達したコーンカルスト

バングル・バングルの岩塔を構成するのは、デボン紀の石英砂岩です。この点は、パーヌルルを理解するうえで外せません。UNESCOは、円錐状の地形であるコーンカルストが砂岩に発達した顕著な例として評価しています。「カルスト」という言葉から石灰岩の地形を連想しても、この岩塔を石灰岩と説明するのは誤りです。岩石の種類と、形成された地形の呼び名を区別して考える必要があります。[1]

もう一つ区別したいのは、岩石の年代と、現在の形がつくられてきた時間です。デボン紀は砂岩の地質年代を指し、約2,000万年という数字は、その岩体が侵食を受けて岩塔群へと形づくられてきた時間として示されています。したがって、「岩が2,000万年前にできた」と一つにまとめることはできません。古い岩石が、後の長い時間をかけて削られたという二段階で捉えると、地形の歴史を整理できます。[1]

黒い縞模様をつくる、薄い微生物の層

特徴的な暗灰色の帯をつくるのは、岩の表面を覆うシアノバクテリアの皮膜です。シアノバクテリアは光合成を行う微生物で、オレンジ色の砂岩との対比が規則的な横縞として見えます。遠くからは巨大な色の層に見えても、表面では非常に薄い生命の層が関わっているのです。[2]

オーストラリア政府の解説によると、この暗い帯は幅が数メートルに及ぶ一方、皮膜そのものの厚さは数ミリメートルほどです。しかも、皮膜には脆い砂岩の表面を安定させ、保護する働きがあります。微生物は単に岩を彩っているのではなく、岩の表面の状態にも影響しているわけです。地質と生物を別々のものとして見るだけでは、この景観の特徴を十分に説明できません。[2]

景色の美しさと、形成過程の価値を分けて見る

パーヌルルの登録基準は(vii)と(viii)です。(vii)は際立った自然美を評価し、縞模様のある蜂の巣状の塔、深い峡谷、光や雨によって変化する見え方が関わります。(viii)は地球の歴史や地形の形成過程に関する基準で、砂岩に発達したコーンカルストがもつ科学的な重要性を示しています。両者は、「どのように見えるか」と「なぜその形になったのか」という二つの視点に分けると理解しやすくなります。[1]

形成の説明も、一つの原因に還元することはできません。UNESCOは地質、生物、侵食、気候の相互作用を重視し、砂岩のコーンカルストができる仕組みには、なお十分に解明されていない面があるとしています。「風が削っただけ」「水に溶けただけ」と言い切るのではなく、複数の作用が重なり合った結果として岩塔群を捉えるのが適切です。[1]

岩塔と、その周囲を一緒に守る

岩塔群の価値を保つには、象徴的な眺めだけを保存すればよいわけではありません。UNESCOの説明では、山脈全体を含む範囲と、その周囲の保護された土地が重視されています。公園の外から流れ込む水なども自然環境とつながるため、境界線の内側だけで保全を完結させることはできません。登録地と緩衝地帯を区別するのは、面積を正しく数えるためだけでなく、周辺の土地が担う役割を理解するためでもあります。[1]

また、自然遺産としての登録は、人々とこの土地との関係が存在しないことを意味しません。オーストラリア政府は、地域の先住民と協力する公園管理について説明しています。外部の社会で広く知られるようになった時期と、土地の歴史そのものは別です。「近年発見された無人の秘境」と捉えるのではなく、自然の形成と人々との関係を区別しながら理解したい場所です。[2]

参考資料

  1. UNESCO World Heritage Centre:Purnululu National Park(概要、顕著な普遍的価値、登録基準、区域・面積。2026年10月31日確認)
  2. オーストラリア政府 DCCEEW:Purnululu National Park(微生物の皮膜、地形、公園管理。2026年10月31日確認)

PLAN YOUR VISIT

旅の計画・アクセス

確認日未登録
旅行実務情報を確認中です

正確なアクセス・営業情報を公式情報源から順次確認しています。訪問前は施設公式サイトと現地の公的情報をご確認ください。

料金・営業時間・交通情報は変更される場合があります。

EXAM ESSENTIALS

世界遺産検定で押さえるポイント

  • 蜂の巣状の岩塔は石灰岩ではなく、石英砂岩に発達したコーンカルストです。
  • デボン紀という岩石の年代と、約2,000万年という侵食の時間は別の尺度です。
  • 暗い縞はシアノバクテリアの薄い皮膜で、砂岩の保護にも関わっています。
  • 登録基準(vii)は自然美、(viii)は地形形成の科学的価値を評価しています。
公式の検定運営団体とは関係のない、一次情報に基づく独自の学習支援情報です。

COMMUNITY JOURNEYS

みんなの訪問記録

この世界遺産の訪問記録はまだありません。

あなたの写真と体験が、次に訪れる人の手がかりになります。