ヘンダーソン島の概要
ヘンダーソン島は、南太平洋のイギリス領ピトケアン諸島に属する無人の隆起サンゴ礁の島です。1988年に世界自然遺産に登録されました。この島は、人間の影響をほとんど受けていない、世界でも数少ない原生的な自然環境が保たれている場所の一つです。孤立した環境のため、独自の進化を遂げた多くの固有種が生息しており、「自然の実験室」とも呼ばれています。
世界遺産としての価値
ヘンダーソン島は、その手つかずの自然と生物多様性から、2つの基準で評価されています。
- 登録基準(vii): 切り立った石灰岩の崖と、密な植生に覆われた内陸部、そして白い砂浜が織りなす景観は、原生的な島の自然美を際立たせています。
- 登録基準(x): 外部から隔絶された環境で独自の進化を遂げた生物多様性を保全する上で、世界的に重要な地域です。特に、4種の固有種の陸鳥をはじめ、昆虫や植物にも多くの固有種が存在します。また、数多くの海鳥の重要な繁殖地にもなっています。
独自の生態系
ヘンダーソン島の孤立した環境は、多くのユニークな生物を育んできました。
- 固有の鳥類: ヘンダーソンクイナ(飛べない鳥)、ヘンダーソンヒロハシ、ヘンダーソンミツスイ、ヘンダーソンインコの4種の陸鳥は、この島にしか生息していません。
- 海鳥の繁殖地: ミズナギドリ類やネッタイチョウ類など、多くの海鳥にとって世界的に重要な繁殖地となっています。
- 固有の植物: 維管束植物の約10種が固有種であり、島の植生の重要な構成要素となっています。