モヘンジョ・ダーロの考古遺跡
パキスタンのシンド州に位置する「モヘンジョ・ダーロの考古遺跡」は、1980年に世界文化遺産に登録されました。紀元前2500年頃に栄えたインダス文明最大級の都市遺跡であり、「死の丘」を意味するその名は、高度な文明が忽然と姿を消した謎を象徴しています。整然とした都市計画や水利システムは、当時の驚くべき技術水準を示しています。
世界遺産登録基準
- 登録基準 (ii): 建築や技術、記念碑芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。南アジアにおける最初期の都市計画の優れた例です。
- 登録基準 (iii): 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。未解読のインダス文字とともに、謎に包まれたインダス文明の存在を証明する貴重な遺跡です。
遺産の概要と価値
モヘンジョ・ダーロは、碁盤の目状に整備された道路網、焼成レンガで造られた堅固な建物、そして精巧な上下水道設備を備えた、極めて高度な計画都市でした。遺跡は、沐浴や宗教儀式に使われたとされる「大浴場」のある城塞区と、市民が暮らした市街地区に分かれています。発掘された印章や土器、装飾品からは、メソポタミア文明との交易や、豊かな市民生活をうかがい知ることができます。この遺跡は、古代四大文明の一つであるインダス文明の核心に迫るための重要な手がかりを提供しています。
主な構成資産
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| 城塞区 | 公共施設が集中するエリア。「大浴場」や穀物倉とされる巨大な建物の跡がある。 |
| 市街地区 | 整然と区画された居住エリア。各戸に井戸や水洗トイレ、汚水溝が完備されていた。 |