ロータス城塞
ロータス城塞(Rohtas Fort)は、パキスタン北部のパンジャブ州に位置する巨大な要塞で、1997年に世界文化遺産に登録されました。16世紀半ば、スール朝の創始者シェール・シャー・スーリーによって、ムガル帝国の皇帝フマーユーンの勢力を抑えるために建設されました。中央アジアから南アジアにかけての初期イスラム軍事建築の傑出した例として知られています。
世界遺産登録基準
- 登録基準 (ii): ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。トルコとインド亜大陸の建築様式が融合した独特のスタイルを示しています。
- 登録基準 (iv): ある期間を代表する建築様式、建築技術、科学技術の発展を示す顕著な見本であること。16世紀の軍事建築技術の高さと、その後のムガル建築に与えた影響を示しています。
遺産の概要と価値
ロータス城塞は、周囲約4kmに及ぶ堅固な城壁に囲まれており、その壮大さと保存状態の良さで際立っています。城壁には68の稜堡と12の城門が設けられ、戦略的に非常に優れた設計がなされています。この城塞は、実戦ではほとんど使われることがありませんでしたが、その後のムガル建築、特に要塞建築に多大な影響を与えました。機能性を重視した力強いデザインと、装飾的な要素が融合した建築は、当時の文化交流を物語る貴重な証拠です。
主な構成資産
| 構成資産名 | 特徴 |
|---|---|
| 城壁と城門 | 高さ18mに達する石造りの城壁と、ソハイル門やカブリ門など壮麗な12の門。 |
| ラニ・マハル | 城内で唯一の宮殿とされる建物。ヒンドゥー建築の影響が見られる。 |
| シャーヒー・モスク | 白砂岩で造られた美しいモスクで、簡素ながらも洗練されたデザインが特徴。 |