大地溝帯にあるケニアの湖沼群とは
アフリカ大陸を縦断する大地溝帯(グレート・リフト・バレー)の一部、ケニア国内にある3つの湖(ボゴリア湖、ナクル湖、エレメンタイタ湖)からなる自然遺産で、2011年に登録されました。これらの湖は強アルカリ性の塩湖で、特に世界最大級のコフラミンゴの生息地として知られています。
登録基準
- (vii) ひときわ優れた自然美をもつ地域。湖面をピンク色に染め上げるフラミンゴの群れや、間欠泉、温泉といった地熱活動が織りなす景観は圧巻です。
- (ix) 進行中の生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本。アルカリ性の湖という特殊な環境で、藻類を食料とするフラミンゴを中心とした独自の食物連鎖が形成されています。
- (x) 生物多様性の保全にとって重要な生息地。コフラミンゴやモモイロペリカンなど13種の絶滅危惧種を含む、多様な鳥類の重要な生息地です。
遺産の価値
この遺産の価値は、まずその視覚的な美しさにあります。数百万羽ともいわれるフラミンゴが湖を覆う光景は、地球上でも類を見ないものです。生態学的には、大地溝帯の地殻活動と火山活動が生み出した特殊な環境と、それに適応した生物群集が貴重な研究対象となっています。また、ナクル湖国立公園はクロサイの重要な保護区でもあります。
遺産の概要
3つの湖はいずれも大地溝帯の底に位置する浅い塩湖で、流出する川がありません。そのため、水分の蒸発により炭酸ナトリウムなどが濃縮され、強アルカリ性の水質となっています。この環境が、フラミンゴの主食である藍藻類のスピルリナの大量発生を促しています。周辺にはアカシアの疎林や草原が広がり、バッファローやシマウマ、ハイエナなども生息しています。
観光と保全
フラミンゴの絶景を一目見ようと多くの観光客が訪れますが、周辺の森林伐採や汚染、気候変動による水位の変動が、繊細な生態系に影響を及ぼすことが懸念されています。持続可能な観光と地域社会による保全活動が重要な課題となっています。
主な動植物
| 動物 | 植物 |
|---|---|
| コフラミンゴ | アカシア |
| モモイロペリカン | スピルリナ |
| クロサイ | 湿地植物 |
| バッファロー | ユーフォルビア |