アクスムの考古遺跡とは
アクスムの考古遺跡は、エチオピア北部に位置する古代アクスム王国の中心地です。紀元1世紀から13世紀にかけてアフリカの角における主要な勢力として栄え、その広大な遺跡群は1980年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。壮大なオベリスク(石碑)、王家の墓、宮殿の遺構などが残り、古代エチオピア文明の繁栄を物語っています。
遺産の価値と登録基準
アクスムの遺跡は、古代世界の主要な文明の一つであったアクスム王国の文化的・技術的成果を示す傑出した証拠として評価されています。その価値は以下の登録基準に集約されています。
- 登録基準(i):一枚岩から彫られた巨大なオベリスク群は、人類の創造的才能を示す傑作とされています。特に高さ24mの「エザナ王のステラ」は、その精巧な彫刻と技術で知られています。
- 登録基準(iv):アクスムの建築様式、特に石碑の建立技術は、当時の土木技術と建築思想における重要な段階を示す顕著な見本です。
主な構成資産
遺跡群には、アクスム王国の栄光を今に伝える数多くの重要な建造物が含まれています。
| 建造物 | 特徴 |
|---|---|
| ステラ(オベリスク)群 | 王の権威と偉業を記念して建てられた巨大な一枚岩の石碑。偽の扉や窓の彫刻が施されている。 |
| 王家の墓 | カレブ王の墓やゲブレ・メスケル王の墓など、精巧な石造りの地下墳墓群。 |
| 聖マリア教会 | 伝説では「契約の箱(アーク)」が安置されているとされるエチオピア正教会の最も重要な聖地。現在の建物は20世紀に再建されたもの。 |
| ドゥングル宮殿跡 | 「シバの女王の宮殿」とも呼ばれる広大な宮殿の遺構。アクスム王国の建築様式を伺うことができる。 |
保全と観光
アクスムの考古遺跡はエチオピアの重要な観光資源であると同時に、内戦や風化による損傷のリスクに直面しています。エチオピア政府や国際機関は、遺跡の調査、修復、保存活動に継続的に取り組んでいます。
参考文献
「アクスム」.UNESCO. https://whc.unesco.org/ja/list/15