ウッド・バッファロー国立公園とは
カナダのアルバータ州とノースウエスト準州にまたがる、カナダ最大の国立公園です。広大な北方林(タイガ)、草原、そして世界最大の内陸デルタ「ピース・アサバスカ・デルタ」を内包し、その手つかずの自然と生物多様性が評価され、1983年に世界自然遺産に登録されました。
世界遺産としての価値
この遺産は、以下の3つの登録基準を満たしています。
- 登録基準(vii) 自然美: 広大な北方林と湿地帯が織りなす、手つかずの亜寒帯の景観美が評価されています。
- 登録基準(ix) 生態系: 北方林、草原、内陸デルタといった多様な生態系が、大規模かつ自然な状態で維持されています。特にピース・アサバスカ・デルタは、北米の渡り鳥にとって極めて重要な中継地・繁殖地です。
- 登録基準(x) 生物多様性: 公園の名前の由来となったウッドバイソンの世界最大の個体群が生息しています。さらに、絶滅危惧種であるアメリカシロヅルの世界で唯一の自然営巣地であることも、この遺産の価値を決定的なものにしています。
豊かな生態系
ウッド・バッファロー国立公園は、その広大な面積と多様な環境により、多くの野生動物の聖域となっています。
| 主な動植物 | 説明 |
|---|---|
| ウッドバイソン | 現存する北米最大の陸上哺乳類。公園内には数千頭が生息する。 |
| アメリカシロヅル | 絶滅の危機に瀕する大型の鳥類。公園内の湿地が唯一の繁殖地。 |
| オオカミ、ヘラジカ | ウッドバイソンを頂点とする食物連鎖を構成する、健全な生態系の指標。 |
| トウヒ、ポプラ | 公園の大部分を占める北方林を構成する代表的な樹木。 |
ウッド・バッファロー国立公園は、北米大陸の原初的な自然景観と、そこに息づく生命のダイナミズムを今に伝える貴重な場所です。気候変動や開発の影響が懸念される中、その厳格な保護が続けられています。