概要
シ・テープはタイ中部に位置する古代都市遺跡で、6世紀から11世紀にかけて東南アジアで栄えたドヴァラヴァティ王国の重要な拠点でした。この遺跡は、堀と城壁に囲まれた「内市」と「外市」からなる二重構造の都市と、その周辺に点在する関連遺跡群から構成されています。シ・テープの建築や仏像、ヒンドゥー教の彫刻などには、インドやクメール(現在のカンボジア)など、様々な地域の文化の影響が見られ、ドヴァラヴァティ文化が多様な文明との交流を通じて独自の様式を発展させたことを示しています。この文化的価値が認められ、2023年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録
2023年に世界文化遺産として登録されました。
- 登録基準(ii): ドヴァラヴァティ文化が、インドをはじめとする海外の伝統から影響を受け、独自の芸術・建築様式を生み出したことを示す顕著な証拠であること。
- 登録基準(iii): 8世紀から10世紀にかけて繁栄したドヴァラヴァティ王国の文化と文明を伝える、現存する唯一の証拠であること。
主な遺構
| 遺構名 | 特徴 |
|---|---|
| カオ・クラン・ナイ | ドヴァラヴァティ様式の仏教寺院の基壇部。化粧漆喰(スタッコ)による精巧なレリーフが残る。 |
| プラサート・シ・テープ | クメール様式の影響を受けたヒンドゥー教の祠堂。レンガ造りの塔が特徴。 |
| プラサート・ソン・ピー・ノーン | カオ・クラン・ナイの南に位置する、同じくクメール様式の影響が見られるヒンドゥー教寺院。 |