曲阜の孔廟、孔林、孔府とは
曲阜(きょくふ)の孔廟、孔林、孔府は、中国山東省曲阜市にある儒教の創始者・孔子ゆかりの遺跡群です。孔子を祀る「孔廟」、孔子とその子孫の墓所である「孔林」、孔子の子孫が代々暮らした邸宅「孔府」の三つで構成され、1994年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。これらは2000年以上にわたり、中国歴代王朝の保護を受けてきました。
遺産の価値
この遺産群は、中国の伝統的な建築美と、東アジア文化圏に絶大な影響を与えた儒教思想の発展を物語る上で非常に重要です。
- 中国建築の集大成:孔廟や孔府は、壮麗な宮殿建築様式を誇り、中国の伝統的な建築技術や装飾芸術の粋を集めています。その配置や規模は、儒教の思想的権威を象徴しています。
- 儒教文化の中心地:孔子の思想が生まれ、発展した中心地であり、その教えは中国だけでなく、東アジア全体の政治、社会、倫理観に深い影響を与え続けてきました。この場所は、儒教文化の生きた証です。
主な見どころ
三つの主要な構成資産は、それぞれ異なる役割を持っています。
遺跡名 | 特徴 |
---|---|
孔廟 | 孔子を祀るための中国最大級の廟。歴代皇帝が増改築を重ね、北京の紫禁城に倣った壮大な建築群が広がる。 |
孔林 | 孔子とその一族、弟子たちのための墓所。2500年以上にわたって使用され、世界で最も長く続く広大な一族墓地とされる。 |
孔府 | 孔子の直系子孫(衍聖公)が居住し、公務を執り行った邸宅。中国の伝統的な貴族の邸宅建築として非常に高い価値を持つ。 |
登録基準
- (i) 人類の創造的才能を表す傑作。
- (iv) ある建築様式、建築物群、技術の集積、または景観の顕著な例。
- (vi) 顕著な普遍的意義を有する出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的、文学的作品と直接に、または明白に関連するもの。
参考文献
「曲阜の孔廟、孔林、孔府」UNESCO World Heritage Centre. https://whc.unesco.org/ja/list/704