サヴォイア王家の王宮群
サヴォイア王家の王宮群は、イタリア北西部のピエモンテ州、特に州都トリノとその近郊に点在する一連の歴史的建造物群です。これらは、16世紀からサヴォイア公国の首都となったトリノを、ヨーロッパの主要な王都として整備する過程で、歴代のサヴォイア家当主によって建設されました。王宮(パラッツォ・レアーレ)を中心に、狩猟用の離宮や田園の邸宅など、目的の異なる多様な建築物が含まれており、17世紀から18世紀にかけてのヨーロッパの絶対王政期の建築と芸術の粋を集めています。これらの建造物群は1997年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (i) 当時のヨーロッパを代表する建築家や芸術家が手掛けた建築群であり、記念碑的芸術の傑出した例です。
- (ii) サヴォイア家が示した建築様式は、ヨーロッパ各地の宮殿建築に大きな影響を与えました。
- (iv) 絶対王政の時代の建築と思想を最もよく示しており、権力の誇示と宮廷生活の様式を完璧に表現しています。
- (v) 王宮と都市計画、そして周囲の田園地帯に広がる離宮群が一体となり、バロック期の宮廷文化を反映した優れた文化的景観を形成しています。
主要な建造物
トリノ市内中心部の権力の中枢から、郊外の壮麗な離宮まで、22の建造物が世界遺産に含まれています。それぞれが異なる役割と建築様式を持っています。
| 建築物 | 特徴 |
|---|---|
| 王宮(トリノ) | サヴォイア家の権力の中心地。豪華な内装を誇る。 |
| ヴェナリア・レアーレ | 「イタリアのヴェルサイユ」とも呼ばれる壮大な狩猟用の離宮。 |
| ストゥピニージの狩猟用離宮 | ロココ様式の傑作とされる、優美なデザインの離宮。 |
| リヴォリ城 | 中世の城を改築したバロック様式の宮殿。現在は現代美術館。 |
観光と保全
サヴォイア王家の王宮群は、トリノの歴史と文化を物語る上で欠かせない存在であり、多くの観光客が訪れます。各建造物は美術館や博物館として公開されているものが多く、訪問者はサヴォイア家の華やかな宮廷文化を体感できます。建造物ごとに所有者や管理者が異なるため、連携して保存修復計画を進めることが重要であり、この壮大な遺産群を総合的に保護するための取り組みが続けられています。