ピレネー山脈のペルデュ山とは
フランスとスペインの国境にまたがるピレネー山脈中央部に位置する、自然と文化の価値が認められた複合遺産です。標高3,352mの石灰岩の山であるペルデュ山を中心に、壮大な自然景観と、そこで育まれた伝統的な農牧業の文化的景観が評価され、1997年に登録されました。
遺産の価値
この遺産は、険しい山岳地帯の自然環境と、人間がそれに対応して築き上げてきた文化の相互作用を示す顕著な例です。
- 自然の価値: ヨーロッパで最も深く大きい2つの渓谷(スペイン側のオルデサ渓谷とアニスクロ渓谷)と、3つの大規模な圏谷(フランス側のガヴァルニー圏谷など)が特徴的な景観を形成しています。氷河によって削られた地形や豊かな動植物相が見られます。
- 文化の価値: 何世紀にもわたり、この地域の農民や羊飼いは、夏になると家畜を連れて山を越え、牧草地を利用してきました。この移牧という伝統的な生活様式が、村落、畑、牧草地からなる独特の文化的景観を形作ってきました。
登録基準
- (iii) ピレネー山脈の伝統的な農牧生活様式を伝える類まれな証拠です。
- (iv) 移牧によって形成された文化的景観の顕著な見本です。
- (v) 伝統的な土地利用が今も続く、傑出した事例です。
- (vii) 圏谷や渓谷が織りなす、ひときわ優れた自然美を誇ります。
- (viii) 地球の歴史の主要段階を示す、石灰岩の地形学的特徴を顕著に示しています。