概要
「フォンテーヌブローの宮殿と庭園」は、パリの南東約60kmに位置する、フランスで最も広大な宮殿の一つです。12世紀に王家の狩猟館として始まり、フランソワ1世やナポレオン1世など、歴代の君主たちによって8世紀にわたり増改築が繰り返されました。そのため、中世から19世紀に至る多様な建築様式が混在する独特の姿を持ち、1981年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産としての価値
この遺産は、以下の登録基準を満たしていると評価されています。
- 登録基準(ii): 16世紀にフランソワ1世がイタリアから多くの芸術家を招き、フランスにおけるルネサンス芸術の拠点(フォンテーヌブロー派)を形成したこと。イタリア・ルネサンス様式がフランスの伝統と融合し、ヨーロッパ美術に大きな影響を与えました。
- 登録基準(vi): ナポレオン1世の退位宣言(1814年)が行われるなど、フランス史における数々の重要な出来事の舞台となった場所であること。
主な見どころ
長い歴史を持つ宮殿内には、各時代の粋を集めた豪華な装飾が施されています。
| 見どころ | 特徴 |
|---|---|
| フランソワ1世の回廊 | イタリア人芸術家ロッソ・フィオレンティーノが手がけた、フレスコ画と漆喰彫刻が見事な回廊。フォンテーヌブロー派の傑作です。 |
| ナポレオン1世の居室 | 皇帝として使用した玉座の間や執務室、退位文書に署名したサロンなどが保存されています。 |
| 舞踏会の間 | アンリ2世の時代に完成した大広間。美しい格天井と暖炉、フレスコ画が特徴です。 |
| 庭園 | フランソワ1世が造らせたフランス式庭園や、広大なイギリス式庭園など、様々な様式の庭が宮殿を囲んでいます。 |