コルフの旧市街とは
ギリシャの西、イオニア海に浮かぶコルフ(ケルキラ)島の東岸に位置する旧市街は、その戦略的な重要性から古代より港湾都市として栄えました。特に、15世紀から18世紀末までのヴェネツィア共和国統治時代に築かれた堅固な要塞群と、その後のフランス、イギリス統治時代に整備された新古典主義様式の建築群が融合した独特の都市景観が高く評価され、2007年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。
遺産の価値と登録基準
コルフの旧市街は、アドリア海の入り口を守る要衝として、オスマン帝国の海軍から4世紀にわたりヴェネツィア共和国の海洋拠点を守り抜きました。その防衛施設と都市構造は、歴史上きわめて重要な役割を果たしたことを物語っています。
- 登録基準(iv): ヴェネツィア時代に起源を持つ要塞都市の構造が、極めて良好な状態で保存されています。旧要塞と新要塞という海陸の防衛システムは、当時の要塞建築技術の優れた見本です。また、ヴェネツィア風の迷路のような街路と、イギリス統治下の新古典主義建築が共存する景観は他に類を見ません。
主な見どころ
- 旧要塞(パレオ・フルリオ): ビザンツ時代に起源を持ち、ヴェネツィア時代に大規模に改築された海に突き出た要塞。旧市街の東端に位置します。
- 新要塞(ネオ・フルリオ): 旧港を守るために16世紀末から建設された、より近代的な稜堡式の要塞。迷路のような地下通路網が特徴です。
- スピアナダ広場: バルカン半島で最大ともいわれる広大な広場。かつては要塞の防衛用の空き地でした。
- リストン: スピアナダ広場に面した、フランス統治時代にパリのリヴォリ通りを模して造られたアーケード付きの優雅な建物群。カフェが立ち並ぶ市民の憩いの場です。
- 聖スピリドン教会: 島の守護聖人である聖スピリドンを祀る教会。赤いドームと高い鐘楼が旧市街のランドマークとなっています。
観光と保全
コルフの旧市街は、現在も活気あふれる生活の場であり、世界中から多くの観光客が訪れます。ギリシャ政府は、歴史的建造物の維持管理と、観光開発とのバランスを取りながら、このユニークな都市遺産の保護に努めています。