WORLD HERITAGE
カセレスの旧市街
スペインのカセレス旧市街は、イスラーム期の防御、キリスト教征服後の宮殿・塔・教会、ユダヤ人地区などが重なる都市です。権力、共存と排除、生活都市の保存を解説します。

ESSENTIAL FACTS
基本情報と登録基準
- 登録年
- 1986年
- 登録基準
- (3)・(4)
- 種類
- 文化遺産
- 国・地域
- スペイン
WHY IT MATTERS
この世界遺産について
城壁・塔・宮殿が残る旧市街
カセレス旧市街(Old Town of Cáceres)は、スペイン南西部エストレマドゥーラ州にある城壁都市です。1986年に登録基準(iii)(iv)で世界遺産となり、2016年に軽微な境界変更がありました。登録面積は9ha、緩衝地帯は60.63haです。城壁と門、防御塔、宮殿、教会、住宅が重なり、ローマ、イスラム、ゴシック、ルネサンスなどの異なる建築的要素を伝えます。
支配の交代と競合する貴族家系
都市にはローマ人、アラブ人、ユダヤ人、キリスト教徒などの歴史が重なっています。UNESCOがとくに注目するのは、14~16世紀に有力家系が競合し、要塞化した住宅や宮殿、塔が都市の構成を形づくった点です。統一感のある石造景観は、一度に設計されたものではなく、支配と土地利用の変化を重ねて成立しました。
城壁も単一時代の構造ではありません。アルモハド朝期には既存の城壁が補修され、防御塔が加えられました。中世のキリスト教支配下でもプルピトスの塔の追加やブハコの塔の改変が行われています。
登録基準(iii)(iv)
基準(iii)は、カセレスの城壁と塔が、スペインにおけるアルモハド朝の防御施設をよく伝えている点を評価しています。複数文化の存在一般ではなく、この具体的な建築の証言が中心です。
基準(iv)は、14~16世紀の競合する有力家系による都市の顕著な例として、要塞住宅、宮殿、塔が支配的な空間構成を残す点に対応します。ゴシックやイスラム、イタリア・ルネサンスなどの多様な影響も、都市の歴史的特徴となっています。
宮殿の地下で続く調査
ヴェレタス宮殿にはアルモハド朝の貯水槽が残り、建物はカセレス博物館として使われてきました。エストレマドゥーラ州政府の2025年3月1日の発表によると、博物館の改修に伴う庭園の調査で、宮殿の異なる改修段階の壁と、貯水槽の西壁に沿う地下通路が確認されました。
この通路は宮殿の庭園と街路を結び、レンガ造の半円筒ヴォールト、石積みの壁、石敷きの床を備えています。1912年に豪雨で露出した記録があり、1942年にも一部が再発見されていました。ただし2025年の発表時点でも、起源の正確な年代と用途は不明とされます。貯水槽に近いからといって、その機能や建設時期まで同じだったとは断定できません。
保存と使い続けるための調査
州政府の発表は、改修工事に考古学的な監視・発掘を伴わせ、発見した通路を将来の博物館計画へ組み込む方針を示しています。これは完成済みの展示や現在の公開状況を意味するものではありません。建物を使い続ける工事の中でも、過去の改変を記録し、まだ分からない点を残したまま調査することが、都市史の理解を深めています。
検定のポイント
カセレスはエストレマドゥーラ州の城壁都市で、1986年登録、基準(iii)(iv)です。アルモハド朝の防御施設と、14~16世紀の貴族家系が築いた要塞住宅・宮殿・塔が重要です。複数時代の建築が重なる都市景観を伝えます。
参考文献
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EXAM ESSENTIALS
世界遺産検定で押さえるポイント
- カセレスはエストレマドゥーラ州の城壁都市で、1986年登録、基準(iii)(iv)です。
- アルモハド朝の防御施設と、14~16世紀の貴族家系が築いた要塞住宅・宮殿・塔が重要です。
- 複数時代の建築が重なる都市景観を伝えます。
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