ナハニ国立公園とは
ナハニ国立公園は、カナダのノースウェスト準州に位置する広大な自然保護地域です。公園の中心を流れるサウス・ナハニ川が、数百万年をかけてマッケンジー山脈を侵食して作り出した、壮大な峡谷、巨大な滝、そして独特のカルスト地形が特徴です。手つかずの原生自然が残る、カナダを代表する自然遺産の一つです。
世界遺産登録の経緯
その圧倒的な自然美と、地球の形成史を物語る重要な地質学的特徴が評価され、世界遺産制度が始まって間もない1978年に、世界で最初に登録された12件の遺産の一つ(自然遺産としては最初の4件の一つ)となりました。適用された登録基準は(vii)と(viii)です。
遺産の価値
この公園は、自然の力強さと美しさを凝縮した場所です。
- 類いまれな自然美(登録基準vii):ナイアガラの滝の約2倍の落差(96m)を誇るヴァージニア滝や、深さ1,000mに達する4つの大峡谷群が織りなす景観は、訪れる者を圧倒します。
- 地球史の証拠(登録基準viii):氷河の影響をほとんど受けなかったため、川による侵食作用が作り出した典型的な地形が完全な形で保存されています。また、温泉によって形成された石灰華の巨大な塚(テラス)も見られます。
主な見どころ
公園へのアクセスは水上飛行機やボートに限られ、訪れることができる人は多くありません。その隔絶された環境が、原生的な自然を守っています。
| 景観 | 説明 |
|---|---|
| ヴァージニア滝 | サウス・ナハニ川の中間に位置する巨大な滝。その水量と轟音は圧巻。 |
| 大峡谷群(Four Canyons) | 川が山脈を貫通して形成した4つの連続する深い峡谷。 |
| ラビットケトル温泉とテラス | 温泉水に含まれる炭酸カルシウムが沈殿してできた、国内最大の石灰華段丘。 |
| カルスト地形 | 地下水系によって形成された洞窟や陥没穴が広がる、迷路のような地形。 |
ナハニ国立公園は、地球のダイナミックな活動が創り出した、荒々しくも美しい芸術作品と言えるでしょう。