WORLD HERITAGE
ウルク・バニ・マアリド
ルブアルハリ西端のウルク・バニ・マアリドは、巨大な縦列砂丘とトゥワイク崖、ワジが多様な砂漠生態系をつくります。アラビアオリックス再導入、登録基準(vii)(ix)、遊牧利用と保全を解説します。

ESSENTIAL FACTS
基本情報と登録基準
- 登録年
- 2023年
- 登録基準
- (7)・(9)
- 種類
- 自然遺産
- 国・地域
- サウジアラビア
WHY IT MATTERS
この世界遺産について
基本情報と遺産の価値
ウルク・バニ・マアリドはサウジアラビアのルブアルハリ砂漠西端にあり、2023年に登録基準(vii)と(ix)で登録された世界自然遺産です。登録面積1,276,500ヘクタール、緩衝地帯80,600ヘクタールで、世界最大の連続した砂の海の一部を守ります。超乾燥地の移動砂丘、石灰岩台地、トゥワイク断崖、ワジ、礫原、砂丘間回廊が隣接し、極端な環境に適応する生物の生息地をつくります。何もない荒野ではなく、地形と生命の相互作用を読む遺産です。
砂丘・断崖・ワジの地形構成
35本の縦列砂丘は最大約200キロメートルに達し、高さは最大約170メートルです。移動する砂丘がトゥワイクの石灰岩断崖と交わり、安定した台地や植物のあるワジが乾燥地の避難場所になります。粗い砂からなる低いジバール地形も特徴です。動く砂と安定した岩盤の境界に生まれる『エッジ効果』が、多様な生息環境を支えます。砂丘の色彩と形だけを切り取らず、風、砂の移動、水の集積、植生の分布を一続きの過程として理解します。
アラビアオリックスの再導入
この地域は野生のアラビアオリックスが最後に確認された場所で、野生絶滅期間を経た後、再導入の中心となりました。アラビアサンドガゼル、アラビアマウンテンガゼルなども再導入され、広い地域を自由に移動します。再導入は『成功』という一語で終わらず、遺伝的多様性、餌と水、疾病、移動、密猟、人との関係を長期的に監視する必要があります。登録時の個体割合や種数は重要な資料ですが、現在値として使う場合は最新調査で確認します。
砂漠の生物多様性と人の利用
登録時には118種の植物、アラビア半島固有の爬虫類5種などが記録され、ワジは木本多年草の重要な生育地です。移動砂丘には砂中生活に適応した無脊椎動物と爬虫類が暮らします。また、この地域は牧畜と移動を行うベドゥの人々に世代を超えて利用されてきました。自然遺産を無人の原生自然として描かず、伝統的利用、放牧圧、資源へのアクセスと保全区域のルールを、人々の尊厳と権利に配慮して扱います。
登録基準(vii)と(ix)
登録基準(vii)は、ルブアルハリの超乾燥砂漠、巨大な縦列砂丘と断崖がつくる自然美と地形景観を評価します。登録基準(ix)は、地形の多様性が生息地のネットワークをつくり、極端な乾燥環境への適応、種分化、再導入種の生存を支える生態学的過程を評価します。(vii)を景観、(ix)を生態学的過程と区別し、オリックス一種だけでなく砂漠生態系全体が対象であることを押さえます。
完全性と保全管理
広大さ、遠隔性、厳しい気候により、伐採、過放牧、狩猟、大規模開発の影響は登録時に比較的少ないと評価されました。石油・ガス探査と採掘の対象外とされ、旧採石場の修復や周辺農場の監視が行われます。一方、気候変動に対して超乾燥生態系は脆弱です。違法狩猟、ラクダ放牧、観光車両の走行、外来種、疾病を継続監視し、静かな区域と利用区域をゾーニングで分ける必要があります。
世界遺産検定で覚えるポイント
国はサウジアラビア、登録年は2023年、登録基準は(vii)(ix)です。ルブアルハリ、トゥワイク断崖、縦列砂丘、ワジ、アラビアオリックス、アラビアサンドガゼルを関連づけます。1996年に保護区指定され、自然遺産としてはサウジアラビア初の登録です。オリックスの再導入は重要ですが、登録基準(x)ではなく、生態学的過程の(ix)である点を確認します。登録時数値と現在の個体数を混同しないことも重要です。
旅の計画と自然への配慮
超乾燥砂漠は、距離、暑熱、夜間の低温、砂嵐、通信断、車両故障が命に関わります。自由に立ち入れる場所と考えず、許可、ゾーニング、ガイド、車両条件を確認します。動物へ接近し、餌や水を与え、追跡撮影する行為は避けます。開放状況、道路、気象、保護規則、渡航安全情報は変わるため、サウジアラビア国立野生生物センター等の当局と日本の外務省で直前確認が必要です。
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