ンバンザ・コンゴ、旧コンゴ王国の首都の遺跡群とは
ンバンザ・コンゴは、アンゴラ共和国北部のザイーレ州に位置する歴史的な都市です。14世紀から19世紀にかけて中央アフリカで栄えたコンゴ王国の政治的・精神的な中心地でした。ヨーロッパ(特にポルトガル)とアフリカの文化が接触し、独自の文化や社会が形成された歴史を物語る遺跡群として、2017年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
コンゴ王国は、ポルトガルとの接触後、キリスト教を受け入れましたが、それは土着の信仰と融合した独自のものでした。王宮、教会、墓地などの遺跡は、アフリカの伝統とヨーロッパの影響が融合した様子を今に伝えています。
世界遺産登録基準
ンバンザ・コンゴは、以下の2つの基準を満たしたことが評価されました。
登録基準 (iii)
現存するか消滅したかにかかわらず、ある文化的伝統や文明の存在を伝える貴重な証拠であること。ンバンザ・コンゴは、サハラ以南のアフリカにおいて、ポルトガルとの接触とキリスト教の導入によって大きく変容を遂げたコンゴ王国の文明を証明する、他に類を見ない物証です。
登録基準 (iv)
人類の歴史上のある時代を例証する、建築様式、建築技術の集積、または景観の顕著な見本であること。この遺跡群は、コンゴ王国の人々がヨーロッパの思想や技術を取り入れつつも、アフリカの伝統に基づいて都市を建設し発展させた、その顕著な例証とされています。
遺産の価値
ンバンザ・コンゴの価値は、単なる遺跡の集合体ではなく、異なる文化が出会った歴史のダイナミズムを体現している点にあります。
コンゴ王国とヨーロッパの出会いの証
15世紀末にポルトガル人が到来して以来、ンバンザ・コンゴは中央アフリカにおけるヨーロッパ文化とキリスト教布教の玄関口となりました。遺跡は、アフリカの王国が主体的に外来文化と交流した歴史を物語る貴重な資料です。
独自のキリスト教文化の発展
コンゴ王国は、中央アフリカで最初にキリスト教を受け入れた王国の一つです。しかし、それは一方的な受容ではなく、既存の信仰や慣習と融合させることで、独自のキリスト教文化を育みました。大聖堂の遺跡や王家の墓地は、その文化融合の象徴です。
主な構成資産
ンバンザ・コンゴの遺跡群には、王国の栄華を伝える多くの史跡が含まれています。
| 構成資産名 | 概要 | 
|---|---|
| クルンビンビ(旧大聖堂跡) | 16世紀に建設された、サハラ以南アフリカ最古の教会跡。 | 
| 王宮跡と博物館 | コンゴ王国の政治の中心地であった場所。現在は王国の歴史を伝える博物館が併設されています。 | 
| ジャランクウォ(聖なる木) | 王の即位や裁判が行われたとされる神聖な木。 | 
| 王家の墓地 | キリスト教を受け入れた後のコンゴ王たちが眠る墓地。 | 
保全と観光
ンバンザ・コンゴは、歴史的遺産としてだけでなく、現在も人々が暮らす生きた都市です。そのため、遺跡の保全と地域社会の発展を両立させることが重要な課題となっています。アンゴラ政府と国際社会は、遺跡の保存修復や、訪問者への教育プログラムを通じて、この貴重な遺産を未来へ継承するための取り組みを進めています。
基本情報
| 項目 | 内容 | 
|---|---|
| 所在地 | アンゴラ共和国 ザイーレ州 | 
| 登録年 | 2017年 | 
| 遺産種別 | 文化遺産 | 
| 登録基準 | (iii), (iv) | 

 
    
       
       
       
       
       
       
       
       
      