概要
マプングブエの文化的景観は、南アフリカ、ジンバブエ、ボツワナの国境が接する地域に広がるサバンナ地帯にあり、2003年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。この地は、11世紀から14世紀にかけて繁栄したアフリカ南部最古の王国、マプングブエ王国の中心地でした。宮殿があったとされる丘の遺跡や集落跡が残されており、後のグレート・ジンバブエ遺跡につながる社会の原型がここで形成されたと考えられています。
登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたと評価されています。
- (ii) アフリカ南部における内外の交易と文化交流の中心地として重要な役割を果たした。
- (iii) 社会構造の変化を示す、マプングブエ王国の発展と衰退の完全な証拠を保持している。
- (iv) アフリカ南部における初期の国家形成段階の建築と集落の姿を示している。
- (v) 過去の気候変動によって人間社会が変化し、最終的にこの地を放棄するに至った過程を示す顕著な例である。
歴史と考古学的価値
マプングブエ王国は、アラビアやインド、中国との交易を通じて繁栄しました。特に、象牙や金を輸出し、ガラスビーズや陶磁器を輸入していました。王族は「マプングブエの丘」と呼ばれる砂岩の丘の上に住み、一般民衆はその麓に居住することで、階級に基づいた社会が形成されていたことが分かっています。王家の墓からは、有名な黄金のサイや王笏、ビーズなど、高度な技術で作られた多数の金製品が出土しており、当時の王国の富と権力を示しています。これらの遺跡と出土品は、アフリカ南部の歴史を理解する上で非常に重要な考古学的価値を持っています。
主な遺跡
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| マプングブエの丘 | 王国の政治・社会の中心地。王族が居住した平坦な頂上を持つ丘。 |
| 王家の墓地 | 丘の上で発見された墓地。黄金のサイをはじめとする多くの金製品や副葬品が出土した。 |
| K2遺跡 | マプングブエの丘の麓に広がる大規模な集落跡。王国の前身となった集落。 |