ルート砂漠とは
ルート砂漠(ダシュト・エ・ルート)は、イラン南東部に広がる広大な砂漠で、2016年にイラン初の世界自然遺産として登録されました。この砂漠は、地球上で最も高温な場所の一つとして知られ、NASAの衛星観測では地表面温度が70.7℃に達した記録もあります。極度の乾燥と高温、そして強い風が、世界的にもユニークで壮大な地形を創り出しています。
世界遺産登録基準
- (vii) 風の浸食によって形成された巨大な尾根と谷(ヤルダン)や、広大な砂丘、塩の平原など、類まれな自然美と壮大な砂漠景観を有しています。
- (viii) 継続的な風食作用(風による浸食)のプロセスが進行中であり、地球の地史を理解する上で重要な地形形成過程を示す顕著な見本です。
遺産の価値
ルート砂漠の価値は、地球の地質学的プロセスを大規模かつダイナミックに観察できる点にあります。特に「ヤルダン」と呼ばれる、風によって削り出された巨大な岩の尾根が連なる景観は世界最大級で、その壮大さは圧巻です。また、極限環境でありながらも、固有の動植物が生息する生態系が存在することも学術的に重要視されています。生命が存在しない「無生物圏」の広範な存在も特徴的です。
主な地形
| 地形 | 特徴 |
|---|---|
| ヤルダン(Yardang) | 風の浸食によって形成された、船底のような形をした巨大な岩の尾根と谷。 |
| 砂丘(Erg) | 最大で高さ300メートルにも達する、星形砂丘など多様な形の砂丘地帯。 |
| 塩類平原(Salt Flats) | 水分が蒸発してできた広大な塩の平原。六角形の美しい亀裂模様が見られる。 |