概要
「サンクト・ペテルブルグの歴史地区と関連建造物群」は、ロシアの都市サンクト・ペテルブルグの広範な歴史的建造物群を対象とする世界文化遺産で、1990年に登録されました。1703年にピョートル大帝によって「西欧への窓」として建設され、以後ロシア帝国の首都として発展しました。ネヴァ川沿いに広がる壮麗な宮殿や教会が織りなす都市景観は、その美しさと歴史的価値から高く評価されています。
世界遺産登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたと評価されました。
- (i) ネヴァ川沿いの壮大な都市計画と建築物群が、人類の創造的才能を表現する傑作である点。
- (ii) 西洋と東洋の文化が交差し、多様な文化の影響を受けた建築様式が見られる点。
- (iv) 西洋の建築様式を取り入れつつ、ロシア独自の美学を融合させた建築技術の発展を示している点。
- (vi) ロシア帝国の歴史と文化を象徴する都市であり、多くの歴史的出来事の舞台となった点。
主な建造物
サンクト・ペテルブルグには、ロシア帝国の栄華を象徴する数多くの壮麗な建造物があります。
| 建造物名 | 特徴 |
|---|---|
| エルミタージュ美術館(冬宮) | ロマノフ朝の皇帝の宮殿。世界三大美術館の一つに数えられ、ロシア・バロック様式の傑作とされる。 |
| ピョートル大帝の夏の宮殿(ペテルゴフ宮殿) | 「ロシアのヴェルサイユ」と称される宮殿。豪華な噴水群と美しい庭園で有名。 |
| カザン大聖堂 | 帝政ロシアの戦勝を記念して建てられたロシア正教会の大聖堂。ローマのサン・ピエトロ大聖堂を模した半円形の回廊が特徴。 |
| 血の上の救世主教会 | 皇帝アレクサンドル2世が暗殺された場所に立つ教会。内部を埋め尽くす壮麗なモザイク画で知られる。 |
歴史と文化的影響
サンクト・ペテルブルグは、ピョートル大帝の西欧化政策の象徴として、計画的に建設された都市です。バロック様式や新古典主義様式の壮麗な建築群は、帝国の威光を示すものでした。また、この街はドストエフスキーやプーシキンといった文豪の作品の舞台となり、チャイコフスキーらが活躍するなど、ロシアの文学、音楽、芸術の発展に多大な影響を与えました。