メキシコ・シティの歴史地区とソチミルコとは
メキシコの首都メキシコ・シティの中心部と、南部に位置するソチミルコ地区からなる世界文化遺産です。アステカ帝国の首都テノチティトランの遺跡の上に築かれたスペイン植民地時代の歴史都市と、アステカ時代から続く伝統的な水上庭園(チナンパ)の文化的景観が評価され、1987年に登録されました。
遺産の概要と価値
この遺産は、アステカ文明とスペイン植民地文化という二つの異なる文化が重なり合って形成された、独特の歴史的景観に価値があります。
- 歴史地区: アステカの神殿跡地にカテドラル(大聖堂)が建てられるなど、先住民文化とヨーロッパ文化が融合した建築様式が見られます。ソカロ(憲法広場)を中心に、壮麗なコロニアル建築が立ち並びます。
- ソチミルコ: アステカ時代に湖を埋め立てて作られた農地「チナンパ」の景観を今に伝えています。伝統的な農業技術と生活様式を伝える貴重な文化的景観であり、市民の憩いの場でもあります。
世界遺産登録基準
- (ii) アステカとスペインという二つの文化の交流と融合を示す顕著な例である。
- (iii) アステカ帝国の文化的伝統を伝える貴重な証拠である。
- (iv) 植民都市の発展段階を示すグリッドプラン(格子状の都市計画)の優れた例である。
- (v) ソチミルコのチナンパは、自然と共生した伝統的な土地利用の顕著な例である。
主要な構成資産
| 名称 | 特徴 |
|---|---|
| メキシコ・シティ歴史地区 | ソカロ広場、カテドラル、国立宮殿などスペイン植民地時代の壮大な建築が集中。 |
| テンプロ・マヨール | 歴史地区内で発掘されたアステカ帝国の中央神殿跡。 |
| ソチミルコの水上庭園 | アステカ時代の農法「チナンパ」が残る水郷地帯。カラフルな遊覧船が行き交う。 |