カナイマ国立公園とは
カナイマ国立公園(Canaima National Park)は、ベネズエラ南東部のグラン・サバナ地域に広がる広大な国立公園です。1994年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。この公園は、卓状台地「テプイ」が点在する独特の景観、世界最大の落差を誇るエンジェルフォール、そして豊かな生物多様性で知られています。
登録基準
- 基準(vii): ひときわ優れた自然美や美的重要性をもつ、類まれな自然現象や地域。エンジェルフォールや無数の滝、テーブルマウンテン(テプイ)が織りなす風景は、地球上で他に類を見ない壮大で美しい景観を形成しています。
- 基準(viii): 地球の歴史の主要な段階を示す顕著な見本。公園内のテプイは、先カンブリア時代に形成された地球上で最も古い地層の一つであり、大陸が分裂する以前のゴンドワナ大陸の痕跡を留めています。
- 基準(ix): 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において、進行中の重要な生態学的・生物学的プロセスを示す顕著な見本。隔絶されたテプイの頂上では、独自の進化を遂げた固有種が多く見られます。
- 基準(x): 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地。ジャガーやオオカワウソなどの絶滅危惧種を含む、多様な動植物の生息地として極めて重要です。
遺産の価値
カナイマ国立公園の価値は、その手つかずの自然と、地球の進化の歴史を物語る地質学的重要性です。
- 地質学的価値: 数億年前に形成されたテプイは「地質学の生きた博物館」と称され、地球の歴史を解明する上で貴重な情報を提供します。
- 生物多様性: 公園内には約3000種の維管束植物が存在し、その多くがこの地域、特にテプイの山頂にしか見られない固有種です。食虫植物なども独自の生態系を形成しています。
概要
地理と歴史
ベネズエラ南東部、ブラジルとガイアナの国境に接する地域に位置します。面積は約3万平方キロメートルに及び、日本の四国よりも広大です。この地域は、先住民であるペモン族の故郷でもあります。
主要な自然景観
公園の象徴であるエンジェルフォールは、アウヤンテプイから流れ落ちる落差979mの滝です。その他にも、ジャスパーの川床が美しい「ケブラダ・デ・ハスペ」など、数多くの見どころがあります。
| 自然景観名 | 特徴 |
|---|---|
| エンジェルフォール | 世界最大の落差(979m)を誇る滝。壮大な水の流れが圧巻です。 |
| アウヤンテプイ | 公園内で最大級のテプイ。エンジェルフォールの源流であり、「悪魔の山」を意味します。 |
| ロライマ山 | 複数の国の国境にまたがる有名なテプイ。多くの固有種が生息し、独特の生態系を形成しています。 |
カナイマ国立公園は、その圧倒的な自然美と地球の歴史を伝える地質学的価値から、世界中の人々を魅了し続けています。この貴重な遺産を未来へ継承していくことが重要です。
参考文献
UNESCO World Heritage Centre. “Canaima National Park”. https://whc.unesco.org/en/list/701