ベロヴェシュカヤ・プーシャ/ビャウォヴィエジャ森林保護区とは
ベロヴェシュカヤ・プーシャ/ビャウォヴィエジャの森(Białowieża Forest)は、ポーランドとベラルーシの国境にまたがる広大な森林地帯です。ヨーロッパに残された最後の原生林の一つであり、かつてヨーロッパ全土を覆っていた手つかずの広葉樹林・混交林の姿を今に伝えています。1979年に世界遺産に登録され、その後範囲が拡大されました。
登録基準
- 基準(ix): 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において、進行中の重要な生態学的・生物学的プロセスを示す顕著な見本。氷河期後のヨーロッパにおける生態系の進化の過程を示す貴重な事例であり、枯死木を含む自然のサイクルが維持されています。
- 基準(x): 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地。特に、野生のヨーロッパバイソンの最大の個体群が生息することで知られ、オオカミ、オオヤマネコなど多くの希少な動植物の重要な生息地となっています。
遺産の価値
この遺産の価値は、ヨーロッパ低地における原生林の生態系が大規模に保存されている点にあります。
- 生物多様性の宝庫: 森林には、ヨーロッパバイソンをはじめとする哺乳類59種、鳥類250種以上、そして12,000種を超える無脊椎動物や菌類などが確認されており、非常に豊かな生態系が維持されています。
- 原生林の生態系: 人間の介入を最小限に抑え、倒木や枯死木が自然に分解されるに任せることで、複雑で健全な森林生態系が保たれています。これは、現代の森林管理や生態学の研究において極めて重要な意味を持ちます。
概要
地理と歴史
ポーランド東部とベラルーシ西部の国境地帯に広がっています。歴史的にポーランド王やロシア皇帝の狩猟地として保護されてきたため、大規模な伐採を免れ、原生の状態が保たれてきました。
主要な動植物
この森林の象徴は、一時は絶滅の危機に瀕したヨーロッパバイソンです。ここで再導入計画が成功し、現在では世界最大の自由行動個体群が生息しています。その他、樹齢数百年のオークの巨木群も森の重要な構成要素です。
分類 | 代表的な種 |
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動物 | ヨーロッパバイソン、オオカミ、オオヤマネコ、ヘラジカ、アカシカ |
植物 | ヨーロッパナラ(オーク)、ヨーロッパブナ、トウヒ、シラカンバなどの巨木 |
鳥類 | ミユビゲラ、クロヅル、ワシミミズクなど希少な種 |
ビャウォヴィエジャの森は、ヨーロッパの自然の原風景を伝える貴重な遺産であり、生物多様性保全の重要性を世界に示しています。
参考文献
UNESCO World Heritage Centre. “Białowieża Forest”. https://whc.unesco.org/en/list/33