トランスバウンダリー・サイトとは

トランスバウンダリー・サイトとは、「国境を越える遺産」のことです。

そもそも国境というものは人類の歴史が進むにつれて人為的に引かれたラインであり、国境線にとらわれない自然遺産の登録推薦の際には障壁となってしまっている側面がありました。そこで、多国間の協力のもとで遺産を保護・保全していくためにトランスバウンダリー・サイトという考え方が共通認識となっていきました。

しかし、これは自然遺産だけの話ではありません。文化遺産でも、かつて1つの民族・国家・文化圏であった地域が近代的な国家の成立で分断されてしまっている例は多数あります。そういったケースでも、トランスバウンダリー・サイトの考え方は用いられます。

作業指針では、できる限り関係締約国が共同で登録推薦書を作成し、共同管理委員会・機関などを設立して遺産全体の管理を監督することが推奨されています。

また、現在は1つの締約国内にある世界遺産でも、拡大登録によってトランスバウンダリー・サイトとして扱われるようになることもあります。

その例となる世界遺産は下記が挙げられます。

こうしたケースがある一方で、国境を越える世界遺産であっても別々の遺産として登録されているケースも存在します。例えば、イグアス国立公園はアルゼンチンとブラジルの両方に接していますが、別々に登録されています。

また、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路についてもスペインとフランスでは別々に登録されており、このケースではトランスバウンダリー・サイトとはみなされません。

トランスバウンダリー・サイトの一覧(2022年現在)

文化遺産

自然遺産

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