概要
ルイス・バラガン邸と仕事場は、20世紀のメキシコを代表する建築家ルイス・バラガン(1902-1988)が自身の居住と設計活動のために建設した自邸です。メキシコシティのタクバヤ地区にあり、1948年に完成しました。ヨーロッパのモダニズム建築の原則に、メキシコの伝統的な建築語彙や素材、鮮やかな色彩を取り入れ、独自のスタイルを確立した傑作として、2004年に世界文化遺産に登録されました。
建築の特徴
バラガン建築は「情緒的モダニズム」と評され、静寂、光、色、水といった要素を巧みに用いて、詩的で精神性の高い空間を創造するのが特徴です。この自邸は、通りに面したファサードは簡素で閉鎖的ですが、内部に入ると光が差し込む劇的な空間が広がります。ピンクや黄色といった大胆な色彩の壁、火山岩や木材といった自然素材の活用、そして屋上テラスの抽象的で彫刻的な構成など、彼の設計思想が凝縮されています。
この建物は、バラガンが亡くなる1988年まで住居兼仕事場として使用され、彼の創作活動の実験場であり続けました。その影響はメキシコ国内にとどまらず、世界中の現代建築やランドスケープデザインに及んでいます。
世界遺産登録基準
- (i) モダニズムの潮流の中で、伝統的・土着的な要素を統合し、新たな建築言語を創造した人類の創造的才能の傑作である。
- (ii) 様々な建築思想や哲学的潮流を統合し、特に現代建築と庭園設計のデザインに大きな影響を与えた。