概要
アルト・ドウロ・ワイン生産地域は、ポルトガル北部を流れるドウロ川上流域に広がる文化的景観です。約2000年にわたりワイン、特に世界的に有名なポートワインが生産されてきました。川に沿って続く険しい丘陵に築かれた段々畑の壮大な景観は、人間と自然が長年にわたって相互に作用しながら形成してきた伝統的な土地利用の顕著な例として、2001年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (iii) 長い歴史を持つワイン生産の文化的伝統が、今なお生き続けている地域として顕著な物証です。
- (iv) 人間の労働によって形成された、壮大で美しい文化的景観の優れた例です。
- (v) 伝統的な土地利用が、厳しい自然条件に適応し、持続可能な形で発展してきたことを示す卓越した見本です。
景観とワイン造り
アルト・ドウロ地域の景観は、「ソカルコス」と呼ばれる石垣で支えられた段々畑によって特徴づけられます。この地域の農家は、片岩質の痩せた急斜面という厳しい自然環境を克服するため、何世紀にもわたって手作業で土地を切り拓き、ブドウ畑を築き上げてきました。この壮大な景観は、ポートワインというユニークな産物を生み出すための、人間の知恵とたゆまぬ努力の結晶です。
歴史
この地域でのブドウ栽培の歴史は古代ローマ時代まで遡りますが、世界的な名声を得たのは17世紀以降のポートワイン貿易の隆盛によります。1756年には、品質を保証するために世界で初めて原産地管理法が制定され、ドウロ地域は法的に画定されたワイン生産地域となりました。この歴史は、地域の景観、経済、文化に深く刻み込まれています。

 
    
       
       
       
       
       
       
       
       
      