概要
バターリャ修道院は、ポルトガル中部のバターリャに位置する壮大なゴシック様式の修道院です。1385年のアルジュバロータの戦いにおける勝利を記念して建設が始まり、2世紀以上にわたって歴代の王により増改築が続けられました。ポルトガル後期ゴシック建築と、独自の装飾様式であるマヌエル様式が見事に融合した傑作として、1983年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (i) ポルトガル独自の芸術性が発揮された建築の傑作であり、特に創設者の礼拝堂や未完の礼拝堂は、人類の創造的才能を証明するものです。
- (ii) ポルトガルにゴシック建築が導入され、マヌエル様式へと発展していく過程を示す重要な例であり、異文化間の影響の交流を示しています。
歴史的背景
バターリャ修道院の建設は、ジョアン1世が王位継承を争うカスティーリャ王国とのアルジュバロータの戦い(1385年)で勝利を収めたことを、聖母マリアに感謝して誓ったことに始まります。この勝利はポルトガルの独立を決定づけ、アヴィス朝の礎を築く重要な出来事でした。修道院は、ポルトガルのナショナリズムの象徴として、国民にとって特別な意味を持ち続けています。
建築様式の特徴
バターリャ修道院は、フランスのゴシック建築の影響を受けつつ、ポルトガル独自の発展を遂げた建築様式が特徴です。主な見どころには、ジョアン1世とその妃、エンリケ航海王子らが眠る「創設者の礼拝堂」、繊細なマヌエル様式の装飾が美しい「王の回廊」、そして壮麗な装飾が施されながらも天井が未完成のまま残された「未完の礼拝堂」などがあり、その独創性と芸術性の高さで知られています。