パハールプルの仏教寺院遺跡群
バングラデシュ北西部に位置する、8世紀から12世紀にかけて栄えた仏教寺院(ヴィハーラ)の広大な遺跡群です。1985年に世界文化遺産に登録されました。この遺跡の中心は、パーラ朝の王ダルマパーラによって建立された「ソーマプラ・マハーヴィハーラ」と呼ばれる大寺院で、ヒマラヤ以南で最大級の規模を誇ります。かつては仏教教学の中心地として、チベットなどからも多くの学僧が集まりました。
世界遺産としての価値
ソーマプラ・マハーヴィハーラの独特な建築様式は、人類の創造的才能を示す傑作と評価されています。その設計は、後の時代の東南アジア(特にカンボジアやジャワ島)の仏教建築に大きな影響を与えました。また、多様な文化が交流した仏教の中心地としての歴史的意義も重要視されています。
- 登録基準(i):人類の創造的才能を表現する傑作。
- 登録基準(ii):ある期間を通じて、または、ある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- 登録基準(vi):顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接に、または明白に関連するもの。
遺跡の構成
遺跡は中央の巨大な寺院と、それを取り囲む僧院から構成されています。
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| 中央寺院 | 十字形の基壇の上にそびえる巨大な寺院跡。壁面はテラコッタの彫像で装飾されている。 |
| 僧院 | 中央寺院を囲むように配置された177の僧房の跡。学僧たちの居住・修行の場であった。 |