概要
ハットゥシャは、現在のトルコ中部に位置する古代都市遺跡で、紀元前17世紀から13世紀にかけてヒッタイト帝国の首都として栄えました。その戦略的な立地と堅固な城壁に守られた都市は、帝国の政治・宗教の中心地でした。1986年にユネスコ世界文化遺産に登録されています。
遺産の価値
ハットゥシャの価値は、失われたヒッタイト文明を現代に伝える考古学的な重要性にあります。遺跡からは、楔形文字で書かれた粘土板文書が多数発見され、古代オリエントの歴史を解明する上で貴重な資料となっています。また、ライオンの門やスフィンクスの門に代表される巨大な石造建築や城壁は、当時の高度な建築技術と芸術性を示しています。
主な遺跡
広大な遺跡には、神殿、王宮、要塞など、ヒッタイト帝国の栄華を物語る多くの建造物跡が残されています。
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| 大神殿 | 帝国の主神である嵐の神テシュブと太陽の女神ヘパトに捧げられた、最大の宗教施設。 |
| ライオンの門 | 市の南西にある城門で、両脇に彫られたライオン像が特徴的な防衛施設。 |
| ヤズルカヤ | 市の郊外にある岩の聖域。ヒッタイトの神々を描いたレリーフが岩壁に刻まれている。 |
世界遺産登録基準
- (i) ライオンの門や王の門、ヤズルカヤの岩の聖域など、他に類を見ない芸術的達成を示している。
- (ii) アナトリアおよび中東の文明の発展に大きな影響を与えた。
- (iii) 消滅したヒッタイト文明の唯一の証拠である。
- (iv) 都市の城壁や神殿、王宮など、ヒッタイトの建築様式を代表する顕著な見本である。