ディライーヤのツライフ地区とは
ディライーヤのツライフ地区は、サウジアラビアの首都リヤド近郊に位置し、2010年に世界文化遺産に登録されました。この地区は、18世紀に第一次サウード王国の首都が置かれた場所であり、サウジアラビア国家発祥の地として極めて重要な歴史的価値を持っています。
ツライフ地区は、日干しレンガで作られた伝統的な建築物が立ち並ぶ城塞都市であり、アラビア半島中央部における独自の建築様式「ナジュド様式」の優れた見本とされています。
登録基準
- 登録基準 (iv): ある期間を代表する建築様式、建築技術の集合体、または景観の優れた見本。
- 登録基準 (v): 特に不可逆的な変化の影響下で脆弱になった、ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、土地利用の優れた見本。
- 登録基準 (vi): 顕著な普遍的価値を有する出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的・文学的作品と直接または明白に関連するもの。
遺産の価値
ツライフ地区の価値は、サウジアラビア建国の歴史的象徴である点にあります。また、ワジ(涸れ川)沿いのオアシスに築かれた都市計画や、日干しレンガを用いたナジュド様式の建築群は、砂漠気候に適応した人間の叡智を示す貴重な文化遺産です。
遺産の概要
地理と環境
リヤド近郊のワジ・ハニーファのほとりに位置するオアシス都市として発展しました。乾燥した気候に適応するため、日干しレンガやヤシの木材を利用した建築技術が用いられています。
主要な建築物
地区内には、王宮やモスク、住居跡などが良好な状態で保存されています。
| 建物 | 特徴 |
|---|---|
| サルワ宮殿 | 第一次サウード王国の政治・行政の中心。大規模な複合建築物。 |
| 伝統的な住居 | 日干しレンガ造り。幾何学模様の漆喰装飾や小さな窓が特徴。 |
| 城壁と塔 | 高さ約10mの城壁が地区を囲み、防御機能を備えていた。 |
観光と保全
サウジアラビア政府による大規模な修復・開発プロジェクトが進行中で、歴史公園として観光客に公開されています。遺跡の保存と、歴史的価値を伝えるための持続可能な観光の両立が図られています。