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オリンピアの考古遺跡

オリンピアの考古遺跡とは

オリンピアの考古遺跡は、ギリシャのペロポネソス半島西部に位置する古代ギリシャの聖域です。1989年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。全知全能の神ゼウスの信仰の中心地であり、紀元前776年から4年ごとに開催された古代オリンピック競技会の発祥地として世界的に知られています。古代ギリシャ世界において、オリンピアは宗教、スポーツ、そして平和の象徴として極めて重要な役割を果たしました。

古代オリンピック発祥の地としての価値

オリンピアの価値は、古代ギリシャの理想を体現した聖域であり、人類史におけるスポーツと平和の祭典の原点である点にあります。その普遍的価値は以下の通りです。

  • 宗教的中心地: 巨大なゼウス神殿や最古のヘラ神殿をはじめとする数々の神殿や祭壇が築かれ、ギリシャ全土から巡礼者が訪れる神域でした。
  • スポーツと平和の象徴: 古代オリンピックの期間中、ギリシャの都市国家間では「エケケイリア(聖なる休戦)」が宣言され、アスリートたちが平和裏に技を競い合いました。この精神は現代のオリンピックにも受け継がれています。

世界遺産登録基準

オリンピアは、その卓越した普遍的価値から、以下の5つの基準を満たすと評価されています。

  • 登録基準(i): かつて世界の七不思議の一つに数えられたフェイディアス作のゼウス像があったことなど、人類の創造的才能の傑作を擁していた。
  • 登録基準(ii): オリンピアの競技場や神殿群は、建築やスポーツ施設の計画において後世に大きな影響を与えた。
  • 登録基準(iii): 古代ギリシャからローマ時代に至るまでの、失われた文明の類まれな証拠である。
  • 登録基準(iv): 人類の歴史の重要な段階を示す、聖域とスポーツ施設の複合体の顕著な見本である。
  • 登録基準(vi): 競争、平和、名誉といったオリンピックの理想と直接的に関連する、普遍的な意義を持つ場所である。

主な遺跡

遺跡 特徴
ゼウス神殿 かつては高さ約12mの巨大なゼウス像が安置されていた、ドリス式建築の壮大な神殿跡です。
ヘラ神殿 現存する最古級の神殿の一つ。現代オリンピックの聖火は、この神殿跡で採火されます。
競技場(スタディオン) 古代オリンピックの短距離走などが行われた場所。約4万5千人を収容できたとされます。
フィリペイオン マケドニア王フィリッポス2世が建てた円形の記念建造物。アレクサンドロス大王らの像が置かれていました。
体育場(ギュムナシオン) 選手たちが練習を行った広大な施設。柱廊に囲まれた中庭がありました。

オリンピアの考古遺跡は、古代の人々の神々への信仰と、肉体と精神の調和を追求した理想を今に伝えています。この人類共通の遺産を守り、その精神を未来へ継承することが求められています。

オリンピアの考古遺跡の基本情報

                         
国名 ギリシャ共和国
世界遺産の名称 オリンピアの考古遺跡
遺産の種類 文化遺産
登録年 1989
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
備考
範囲(ヘクタール)105.6
地図

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