ヴォルタ州、グレーター・アクラ州、セントラル州、ウェスタン州の城塞群とは
ガーナの海岸線約500kmにわたって点在する、ヨーロッパ諸国によって建設された城や要塞の数々で、1979年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。これらは15世紀から18世紀にかけて、金や象牙の交易拠点として、後には大西洋奴隷貿易の拠点として建設されました。中でもエルミナ城やケープ・コースト城は、アフリカの歴史における悲劇の舞台として知られ、人類の負の遺産を今に伝えています。
登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたと見なされ、世界遺産に登録されました。
- (vi) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの。
遺産の価値と特徴
歴史的価値
これらの城塞群は、4世紀にわたるヨーロッパとアフリカの接触の歴史、特に大西洋奴隷貿易という人類史の暗部を物語る動かぬ証人です。何百万人ものアフリカ人が捕らえられ、非人道的な環境に押し込められて新大陸へと送られた「帰らずの扉」は、その悲劇を象徴する場所として、歴史の教訓を伝えています。
建築的価値
ポルトガル、オランダ、イギリス、デンマーク、スウェーデンなど、様々なヨーロッパの国々によって建設されたため、各国の軍事建築や建築様式が時代とともに変遷していく様子を見ることができます。現地の資材や労働力を利用して建てられたこれらの建造物は、ヨーロッパの建築技術がアフリカの地でどのように適応されたかを示す貴重な例です。
主要な城塞
この遺産群には約30の城塞や砦が含まれますが、特にエルミナ城とケープ・コースト城が代表的です。
城塞 | 建設開始年 |
---|---|
エルミナ城(セント・ジョージ城) | 1482年 |
ケープ・コースト城 | 1653年 |
参考文献
「ヴォルタ州、グレーター・アクラ州、セントラル州、ウェスタン州の城塞群」. UNESCO World Heritage Centre. https://whc.unesco.org/ja/list/34