中世アナトリアの木造多柱式モスク群とは
中世アナトリアの木造多柱式モスク群は、13世紀後半から14世紀にかけて、トルコのアナトリア地方に建設された5つのモスクからなる遺産です。これらのモスクは、石造りの外壁と、内部に多数の木柱(多柱式=ヒュポスティロス)が林立する平屋根構造を特徴としています。地域の木材を巧みに利用したこの建築様式は、イスラム建築の伝統とアナトリアの地域文化が融合した独特のものです。
世界遺産登録
2023年、アナトリア各地に点在する5つのモスクが「中世アナトリアの木造多柱式モスク群」として、以下の登録基準を満たしたとして世界文化遺産に登録されました。
- 登録基準(ii):中世アナトリアにおける建築様式、装飾、木工技術の高いレベルを示しており、イスラム世界とアナトリアの文化交流を反映している。
- 登録基準(iv):イスラム建築における木造多柱式という建築類型を、アナトリアの地理的・文化的文脈の中で独自に発展させた顕著な例である。
遺産の価値と特徴
これらのモスク群の価値は、その優れた木工技術と美しい内部空間にあります。天井や柱頭、説教壇(ミンバル)などには、精巧な彫刻や彩色装飾が施されており、当時の職人たちの高度な技術を伝えています。外観は比較的簡素ですが、一歩中に足を踏み入れると、木の柱が森のように立ち並ぶ荘厳で温かみのある祈りの空間が広がっています。これらのモスクは、建設から700年以上経った現在も、地域の信仰の中心として機能し続けています。
| 構成資産のモスク名 | 所在地 |
|---|---|
| ベイシェヒル・エシュレフオール・モスク | コンヤ県 |
| シヴリヒサル・ウル・ジャミィ | エスキシェヒル県 |
| アフィヨンカラヒサル・ウル・ジャミィ | アフィヨンカラヒサル県 |
| アルスランハーネ・モスク | アンカラ県 |
| マフムト・ベイ・モスク | カスタモヌ県 |