概要
ハイファと西ガラリヤのバハイ教聖所群は、イスラエル北部に位置するバハイ教の聖地群です。2008年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。これらの聖地は、19世紀にペルシャで創始されたバハイ教にとって最も重要な精神的中心地であり、その壮麗な建築物と美しく手入れされた庭園で世界的に知られています。主な構成資産は、ハイファのカルメル山にあるバーブの霊廟と、アッコ近郊にあるバハオラの霊廟です。
世界遺産としての価値
この遺産群は、バハイ教の信仰における最も神聖な場所であり、1世紀以上にわたる巡礼の伝統を証明するものとして、以下の基準を満たし登録されました。
登録基準(iii):文化的伝統の証拠
19世紀に始まったバハイ教の巡礼という文化的伝統を証明する貴重な物証です。聖地の建築物や庭園は、その信仰がどのように発展し、世界中に広がっていったかを示しています。
登録基準(vi):信仰の生きた伝統との関連
バハイ教の創始者バハオラと、その先駆者バーブの霊廟を擁するこの地は、世界中の信者にとって精神的な中心であり、信仰と直接結びつく生きた伝統の場として極めて重要な意味を持っています。
主な構成資産
遺産は、ハイファと西ガリラヤ(主にアッコ周辺)の2つの地域にある、庭園、霊廟、公文書館など11の史跡で構成されています。
ハイファ:バーブの霊廟と空中庭園
ハイファのカルメル山の斜面には、バハイ教の先駆者であるバーブを祀る黄金のドームを持つ霊廟があります。その周囲には、19層のテラスからなる壮大な庭園(バハイ・ガーデンズ)が広がり、地中海を見下ろす美しい景観を作り出しています。庭園は幾何学的なデザインと丹念な手入れで知られています。
西ガリラヤ(アッコ):バハオラの霊廟
アッコの近郊には、バハイ教の創始者バハオラが晩年を過ごした邸宅や、彼が埋葬されている霊廟があります。ここはバハイ教徒にとって最も神聖な場所とされ、巡礼者が祈りを捧げる中心地です。周囲は静かで美しい庭園に囲まれています。
観光と保全
これらの聖地は、その宗教的な重要性と美しさから、多くの観光客や巡礼者を受け入れています。訪問は無料ですが、聖地の神聖さを保つため、服装や行動に関する規則が設けられています。ユネスコの世界遺産として、これらの建築物と庭園は厳格な基準のもとで管理・保全されており、その普遍的価値を未来の世代に伝えるための努力が続けられています。
基本データ
構成資産 | 主な特徴 |
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ハイファの聖所 | カルメル山に広がる壮大な庭園(バハイ・ガーデンズ)、黄金のドームを持つバーブの霊廟。 |
アッコの聖所 | バハイ教の創始者バハオラの霊廟と住居。信者にとって最も神聖な巡礼地。 |
ハイファと西ガラリヤのバハイ教聖所群は、新しい宗教の生きた伝統と、普遍的な美しさを持つ景観が見事に融合した世界遺産です。その精神性と芸術性は、訪れる人々に深い感銘を与えています。