雲南三江併流の保護地域群
雲南三江併流の保護地域群は、中国雲南省のチベット高原南東部に位置し、2003年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。その名の通り、アジアの三大河川である金沙江(長江上流)、瀾滄江(メコン川上流)、怒江(サルウィン川上流)が、最も狭いところではわずか66kmの間に、800km以上にわたって並行して流れる世界でも稀有な地域です。
地球の縮図ともいえる多様性
この地域の価値は、地質、気候、生物相の驚くべき多様性にあります。インド亜大陸とユーラシア大陸の衝突によって形成された険しい地形は、標高差が6,000mにも及びます。この高低差が熱帯から寒帯までの多様な気候帯を生み出し、それぞれに異なる生態系が育まれました。中国全土の高等植物の20%以上、動物の25%以上がこの地域に生息・生育しており、生物多様性の中心地の一つとされています。また、地殻変動の歴史を物語る地形は、地質学の生きた教科書ともいえます。
登録基準
この遺産は、4つの自然遺産登録基準(vii, viii, ix, x)のすべてを満たしていると評価されています。
- (vii) 壮大で多様な自然景観。
- (viii) 大陸プレートの衝突という地質学的な歴史の顕著な見本。
- (ix) 多様な気候帯における生態系の進化を示す顕著な見本。
- (x) 絶滅危惧種を含む、きわめて高い生物多様性。
主要な保護区
保護区名 | 特徴 |
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高黎貢山(こうれいこうざん) | 原生林が広がり、生物多様性が非常に高いエリア。 |
白馬雪山 | 高山植物が豊富で、絶滅危惧種の滇金絲猴(うんきんしこう)の生息地。 |
梅里雪山 | チベット仏教の聖地でもある標高6,740mの高峰。壮大な氷河を持つ。 |