昌徳宮とは
昌徳宮(チャンドックン)は、韓国のソウル市にある朝鮮王朝時代の宮殿で、1997年に世界文化遺産に登録されました。景福宮の離宮として、1405年に第3代王・太宗によって創建されました。他の宮殿と異なり、山の地形に沿って建物を配置するなど、自然との調和を重視した設計が最大の特徴です。特に、宮殿の裏手に広がる庭園「後苑(フウォン)」は、韓国伝統庭園の粋を集めた傑作として知られています。
遺産の価値
- 自然と調和した建築: 周囲の自然環境を壊さず、地形を活かして建物を配置する設計は、東アジアの宮殿建築や庭園設計に大きな影響を与えました。
- 朝鮮王朝の歴史の証人: 正宮である景福宮が焼失した後は、約270年にわたり王が政務を執る中心的な宮殿として機能し、王朝の歴史を物語る重要な場所です。
主な建造物
昌徳宮には、朝鮮王朝の歴史と建築美を伝える数多くの重要な建物があります。
| 建造物名 | 特徴 |
|---|---|
| 仁政殿(インジョンジョン) | 昌徳宮の正殿。王の即位式や国家の重要儀式が執り行われた、宮殿の中心的な建物。 |
| 大造殿(テジョジョン) | 王と王妃の寝殿。内部は洋風の装飾が施されるなど、朝鮮王朝末期の様式が見られる。 |
| 後苑(フウォン) | 「秘苑」とも呼ばれる広大な庭園。自然の谷間に池や 정자(亭子)を配し、四季折々の美しい景観を見せる。 |
登録基準
- (ii) 自然の地形を活かした設計は、その後の東アジアの宮殿建築と庭園デザインに大きな影響を与えた。
- (iii) 数世紀にわたり朝鮮王朝の歴史の中心舞台であり、その文化を物語る物証である。
- (iv) 自然と建築が見事に調和した宮殿建築群として、傑出した例である。