概要
「フレーデフォート・ドーム」は、南アフリカ共和国のフリーステイト州にある、地球上で確認されている中で最大かつ最古の隕石衝突クレーター(アストロブレム)です。2005年に自然遺産として登録されました。約20億2300万年前に直径10km以上の巨大な隕石が衝突して形成され、その元のクレーターの直径は300kmに達したと推定されています。
地質学的特徴
現在地表に見られる「ドーム」は、衝突直後にクレーターの中心部が隆起してできた直径約90kmの部分です。長年の侵食によってクレーターの全体像は失われましたが、このドーム構造と周辺のリング状の地形から、衝突の痕跡を明確に見て取ることができます。この場所では、隕石衝突という極度の高圧と高温によってのみ形成される、以下のような特有の地質学的証拠が観察できます。
- シャッターコーン:衝撃波によって岩石に形成される、特徴的な円錐状の割れ目。
- シュードタキライト:衝撃によって岩石が溶けてガラス質に固まったもの。
科学的重要性
フレーデフォート・ドームは、地球の地質学的歴史を研究するための他に類を見ない自然の実験室です。巨大衝突が地球の進化に与えた影響を解明する上で不可欠な情報を提供し、他の惑星のクレーターと比較研究する上でも重要な基準点となっています。また、衝突によって地下深部の岩石が地表に露出したため、通常は見ることのできない地球内部の構造を研究することも可能です。
登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたとされています。
- (viii) 地球最大のエネルギー解放現象の証拠として、地球の歴史を物語る最も顕著な例の一つである。