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アル・ズバラ考古遺跡

アル・ズバラ考古遺跡とは

アル・ズバラ考古遺跡は、カタール半島の北西岸に位置する、城壁に囲まれた沿岸都市の遺跡です。18世紀後半から19世紀初頭にかけて、ペルシャ湾岸地域における真珠採取と国際貿易の拠点として繁栄しました。2013年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。砂に埋もれていたことで保存状態が良く、当時のアラビア湾岸の交易都市の姿をほぼ完全な形で今に伝えています。

登録基準

この遺産は、以下の基準を満たしたと見なされ、世界遺産に登録されました。

  • (iii) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (iv) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた見本。
  • (v) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。

遺産の価値と特徴

歴史的価値

アル・ズバラは、インド洋、アラビア、西アジアを結ぶ交易ネットワークの重要な結節点でした。特に、この地域で採れる天然真珠の取引で大きな富を築きました。遺跡は、近代的な石油経済が始まる以前の湾岸地域の社会経済と、イスラム世界の都市生活の伝統を物語る貴重な証拠です。

都市計画と建築

遺跡は、堅固な城壁に囲まれ、内部は住居地区、市場(スーク)、宮殿、モスク、隊商宿(キャラバンサライ)などが整然と配置された計画都市の構造を示しています。建物は、現地の石やサンゴを漆喰で固めた伝統的な工法で建てられており、暑く乾燥した気候に適応するための工夫が見られます。都市の周りには、港や漁師の小屋、防御のためのズバラ城塞の遺構も残っています。

地理と気候

カタール北西部の砂漠地帯の海岸に位置しています。海に面した立地が、海上交易と真珠採取の拠点としての発展を可能にしました。気候は典型的な砂漠気候で、夏は極めて高温多湿になります。

遺構 説明
都市城壁 外敵の侵入を防ぐために都市全体を囲んでいた防衛施設
住居遺構 中庭を持つアラブ式の家屋。住民の生活様式がわかる
宮殿跡 都市の支配者層が居住した大規模な複合建築物
ズバラ城塞 都市から少し離れた場所に立つ、見張りや防衛のための城

参考文献

「アル・ズバラ考古遺跡」. UNESCO World Heritage Centre. https://whc.unesco.org/ja/list/1402

アル・ズバラ考古遺跡の基本情報

                         
国名 カタール国
世界遺産の名称 アル・ズバラ考古遺跡
遺産の種類 文化遺産
登録年 2013
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅲ)(ⅳ)(ⅴ)
備考
範囲(ヘクタール)415.66
地図

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