概要
クサントスとレトーンは、トルコ南西部の古代リキア地方に位置する2つの密接に関連した遺跡群です。クサントスはリキア連邦の首都として政治・経済の中心地であり、その数キロ南に位置するレトーンは連邦全体の宗教的な聖域でした。リキア独自の文化とギリシャ文化が融合した独特の芸術・建築様式で知られ、1988年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。
遺産の価値
この遺産の価値は、古代リキア文明を理解する上で不可欠な考古学的証拠を提供している点にあります。特に、石柱の上に墓室を置くピラー墓や、家屋を模した石棺など、リキア特有の埋葬文化を示す墓石記念物は他に類を見ません。また、レトーンで発見されたリキア語、ギリシャ語、アラム語で刻まれた三言語併記の石碑は、リキア語の解読に大きく貢献しました。
主な遺跡
両遺跡には、リキア文明の繁栄を伝える壮大な建造物が数多く残されています。
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| クサントスのネクロポリス | 「ハルピュイアの墓」や「ネレイデス・モニュメント」など、精巧な彫刻が施された墓石記念物が多数残る。 |
| クサントスの劇場 | ローマ時代に建設された劇場で、リキアの都市の繁栄を物語る。 |
| レトーンの神殿群 | リキアの主要な神々であるレト、アポロン、アルテミスを祀る3つの神殿が並び立つ聖域。 |
世界遺産登録基準
- (ii) リキア文明は、古代アナトリアの文化交流の重要な証拠であり、特にその葬祭美術はギリシャ文化の影響を強く受けている。
- (iii) リキア語の碑文は、インド・ヨーロッパ語族に属する消滅した言語を理解する上で重要な手がかりとなる、他に類を見ない証拠である。