概要
「コインブラ大学-アルタとソフィア」は、1290年に創立されたポルトガル最古、かつヨーロッパで最も歴史ある大学の一つであるコインブラ大学の関連施設群です。約7世紀にわたり、ポルトガル語圏の学術、文化、科学の中心地として世界に多大な影響を与えてきました。その建築群と、大学都市としての発展の歴史が評価され、2013年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (ii) ポルトガルとその植民地帝国の教育・文化の発展において、思想や芸術の交流を促進する中心的な役割を果たしました。
- (iv) 大学という機関の発展の各段階を、その建築様式を通じて示す顕著な例です。
- (vi) ポルトガル語圏における独自の教育的・文化的伝統の形成に決定的な影響を与え、普遍的な文学的価値を持つ思想や芸術作品を生み出しました。
歴史と文化的影響
当初リスボンに設立された大学は、1537年にコインブラの丘の上(アルタ地区)にある王宮に移転し、恒久的な所在地となりました。以来、大航海時代の知識の集積地として、また啓蒙思想の拠点として、ポルトガルのみならずブラジルをはじめとする世界中のポルトガル語圏のリーダー育成に貢献しました。
主な構成資産
遺産は、大学の中枢機能が集まる「アルタ地区」と、学生の生活や大学関連の商業が発展した「ソフィア地区」の2つのエリアから構成されています。
- ジョアニナ図書館(アルタ地区):18世紀に建てられたバロック様式の図書館。金泥細工が施された豪華絢爛な内装と、貴重な古書を虫から守るためにコウモリが飼われていることで有名です。
- 大学宮殿(アルタ地区):旧王宮を利用した大学の中心施設で、学位授与式などが行われる「帽子の間」があります。
- サン・ミゲル礼拝堂(アルタ地区):マヌエル様式の装飾やバロック様式のオルガンが美しい礼拝堂です。
- ソフィア通り(ソフィア地区):16世紀の都市計画に基づき、大学の学寮(コレジオ)が立ち並ぶ通りとして整備されました。