ツォディロの岩壁画の写真

ツォディロの岩壁画

ツォディロとは

ボツワナ北西部のカラハリ砂漠に屹立する岩山群で、アフリカで最も岩壁画が集中している地域の一つです。約10平方キロメートルの範囲に4,500点以上もの岩絵が残されており、その密度と芸術性の高さから「砂漠のルーブル美術館」と称されます。これらの岩絵は、この地で暮らしてきたサン人(ブッシュマン)などの人々によって、数千年以上にわたって描かれ続けてきたと考えられています。

世界遺産登録の概要

2001年に「ツォディロ」として世界文化遺産に登録されました。

  • 登録基準(i):人類の創造的才能を表す傑作である点。描かれたモチーフの多様性、質の高さ、そして膨大な数の岩絵群は、人類の初期の創造活動を示す傑出した証拠です。
  • 登録基準(iii):文化的伝統の証拠である点。岩絵は、この地域の狩猟採集民の生活様式や世界観を記録しており、数千年にわたる文化的伝統を伝えています。
  • 登録基準(vi):思想や信仰と直接関連する遺産である点。ツォディロはサン人にとって「神々の山」と信じられる聖地であり、岩絵はシャーマニズムの儀式など、彼らの精神世界と深く結びついています。

遺産の価値と特徴

ツォディロの価値は、先史時代から続く人類の記録が、壮大な自然景観の中に凝縮されている点にあります。描かれているのは、エランド(大型のレイヨウ)やキリンといった動物、幾何学模様、そして踊る人々など多岐にわたります。特に赤色で描かれた動物の絵は写実的で、狩猟の成功や豊穣を願う人々の祈りが込められていると解釈されています。この場所は、過去の遺産であるだけでなく、現在もサン人にとって重要な信仰の対象であり、儀式が行われる生きた聖地です。

岩壁画の主なモチーフ

壁画には様々なモチーフが描かれ、それぞれが特定の意味を持つと考えられています。

モチーフ 特徴・解釈
動物の絵 エランド、キリン、サイ、シマウマなど。特にエランドは神聖な動物とされ、最も多く描かれている。
人物像 踊りや儀式の様子、狩りをしている姿など。シャーマンが変身した姿(半人半獣)も描かれる。
幾何学模様 円や線で構成された抽象的な模様。トランス状態のシャーマンが見る幻覚を表しているとされる。

参考文献

「ツォディロ」UNESCO. https://whc.unesco.org/ja/list/1021

ツォディロの岩壁画の基本情報

                         
国名 ボツワナ共和国
世界遺産の名称 ツォディロの岩壁画
遺産の種類 文化遺産
登録年 2001
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅰ)(ⅲ)(ⅵ)
備考
範囲(ヘクタール)4800
地図

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