WORLD HERITAGE
エルサレムの旧市街とその城壁群
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教に深い意味を持つ旧市街です。多層的な歴史と三つの登録基準、1982年から続く危機遺産の保存課題を扱い、法的地位を断定せず、住民・礼拝者・管理者の尊厳と安全を重視して解説します。

ESSENTIAL FACTS
基本情報と登録基準
- 登録年
- 1981年
- 登録基準
- (2)・(3)・(6)
- 種類
- 文化遺産
- 国・地域
- イスラエル
WHY IT MATTERS
この世界遺産について
エルサレムの旧市街とその城壁群とは
エルサレムの旧市街とその城壁群(Old City of Jerusalem and its Walls)は、1981年に登録基準(ii)(iii)(vi)で世界遺産となった文化遺産です。UNESCOは「Jerusalem (Site proposed by Jordan)」、すなわちヨルダンが提案した資産として表示しています。この提案者の表記は、主権や境界の帰属を示す国名表記とは区別されます。UNESCOの登録ページも、推薦書や地図の公表が地域の法的地位や境界についての見解を示すものではないと明記しています。
三つの宗教と多層的な都市
エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとって大きな宗教的意味を持ちます。旧市街には西壁、聖墳墓教会、岩のドームなど、異なる信仰と結び付いた建造物があります。同時に、住民の暮らす住宅や街路が宗教施設とともに都市をつくっています。礼拝の場所だけを集めた記念物群ではなく、生活と信仰が重なる都市です。
岩のドームと西壁
岩のドームは7世紀に建てられた建築で、UNESCOは幾何学模様や植物をかたどった装飾をその特徴として紹介しています。都市の宗教的な意味に加え、こうした造形も建築を理解する手がかりになります。
西壁(嘆きの壁)はユダヤ教徒の祈りと深く結び付いた場所です。西壁遺産財団の説明によると、神殿の丘の基壇を支える壁の一部であり、第二神殿の礼拝建物そのものの壁とは区別されます。現在目にする石積みにも修復の層があり、同財団は祈りの広場に面する上部の石積みを、イスラム統治期の修復に由来すると説明しています。
聖墳墓教会と重なる再建
聖墳墓教会は、キリスト教でイエスの墓と伝えられる場所を覆う宗教施設です。内部の円形堂の中央には、墓を囲む小聖堂「エディクラ」があります。聖地を管理するフランシスコ会の聖地保護管区の説明では、1808年の火災後、現在のエディクラが1810年に建設されました。長い信仰の歴史と、現存建築の各部分の年代は必ずしも同じではありません。
同管区は、2016年にギリシャ・ラテン・アルメニアの三教会が修復に合意し、アテネ国立工科大学の専門家が構造補強などを進めたことを報告しています。2017年3月には修復完了の式典が行われ、エルサレム総主教庁もその開催を記録しています。信仰の場を維持するために、共同管理者の合意と建築保存の専門技術が結び付いた具体例です。
城壁が示す都市の歴史
城壁も、旧市街と一体で登録された重要な構成要素です。城壁周辺の考古学調査を支援したエルサレム財団の解説では、現在の城壁はオスマン帝国のスレイマン大帝の時代、16世紀に、以前の城壁の遺構を利用して築かれました。旧市街を囲む姿そのものに、より古い防御施設と後世の建設が重なっています。宗教施設だけでなく、町の輪郭をつくる壁や門にも歴史が残されています。
住宅と暮らしも対象になる保存
UNESCOが2006年末の草案完成を目標に進めていた旧市街修復マニュアル事業では、住宅の質と住民の生活条件を改善しながら、歴史的な町並みの建築要素を保存することが重視されました。スペインの信託基金による支援のもと、世界遺産センター、アヴィニョンの建築学校、バルセロナの建築技術者団体が協力した事業です。著名な聖所の修復だけでなく、普通の住宅を歴史的性格に配慮して改修することも、都市遺産の保存に含まれます。
危機遺産としての位置づけ
この遺産は1982年に危機にさらされている世界遺産リストへ記載されました。2026年10月31日に確認したUNESCO登録ページでも、記載期間は「1982年から現在」とされています。登録基準は(ii)(iii)(vi)であり、三宗教にとっての象徴性、歴史的建造物、住み続けられる都市という複数の側面を持つ遺産です。危機リストへの記載状況と、個々の建物の修復の進展は別に捉える必要があります。
世界遺産検定で覚えるポイント
登録年は1981年、登録基準は(ii)(iii)(vi)、危機遺産リストへの記載は1982年以降。UNESCOの表示は「ヨルダンが提案した資産」です。岩のドーム、西壁、聖墳墓教会に加え、城壁と生活の場である旧市街全体が遺産を構成しています。
参考文献
- UNESCO World Heritage Centre: Old City of Jerusalem and its Walls
- UNESCO:The formulation of a Manual for the Rehabilitation of the Old City of Jerusalem
- Western Wall Heritage Foundation:General Visitor Information(西壁の建築と歴史の説明)
- Custodia di Terra Santa:Basilica of the Holy Sepulchre(施設管理者による歴史と修復の記録)
- エルサレム総主教庁:エディクラ修復完了式典の記録(2017年)
- The Jerusalem Foundation:Old City Walls
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GRADE 3 CURRICULUM
世界遺産検定3級での位置づけ
テーマでみる世界遺産
文化的景観、危機遺産、戦争と記憶を、公式制度と学習用語を分けて整理します。
- 国・地域:イスラエル
- 種類:文化遺産
- 登録年:1981年
- 登録基準:(2)・(3)・(6)
この章で結び付けて学ぶテーマ
- 文化的景観
- 戦争・紛争
- 危機遺産
範囲確認:公式公開資料で個別掲載を確認
第8章の学習ガイドへ 世界遺産ライブラリによる独自の学習支援です。公式問題・公式テキストの転載ではなく、公式公開情報と一次情報を基に構成しています。EXAM ESSENTIALS
世界遺産検定で押さえるポイント
- 登録年は1981年、登録基準は(ii)(iii)(vi)、危機遺産リストへの記載は1982年以降。
- UNESCOの表示は「ヨルダンが提案した資産」です。
- 岩のドーム、西壁、聖墳墓教会に加え、城壁と生活の場である旧市街全体が遺産を構成しています。
EXAM STUDY
検定対策の独自解説
世界遺産検定3級
エルサレム旧市街:三宗教の聖地と危機遺産を整理する
試験で押さえたい要点
エルサレム旧市街は、ユダヤ教、キリスト教、イスラームの三宗教にとって特別な意味を持つ都市です。宗教ごとの聖所をばらばらに暗記せず、一つの城壁都市に重なっていることを理解します。
代表的な聖所
ユダヤ教の嘆きの壁、キリスト教の聖墳墓教会、イスラームの岩のドームが代表例です。長い歴史の中で宗教と文化が交差してきたことが、都市の顕著な普遍的価値を形づくっています。
危機遺産としての位置づけ
1981年に世界遺産へ登録され、翌1982年から危機にさらされている世界遺産リストに記載されています。政治的帰属を断定せず、世界遺産制度上の登録経緯と保全課題を正確に押さえます。
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