イラン縦貫鉄道とは
イランを南北に縦断する全長1,394kmの鉄道で、2021年に世界文化遺産に登録されました。1927年から1938年にかけて建設され、北部のカスピ海沿岸のバンダレ・トルクメンと、南部のペルシャ湾岸のバンダレ・エマーム・ホメイニーを結んでいます。険しい山岳地帯や砂漠、川を越えるこの鉄道の建設は、当時の最高水準の土木技術を結集した国家的プロジェクトであり、20世紀における技術的偉業の一つとされています。
技術的特徴
- 大規模な土木工事:建設にあたり、多数のトンネル(224カ所)と橋梁(174カ所)が、地形に応じて独創的な技術で建設されました。
- 螺旋状ループ線と急勾配:標高差2,000m以上を克服するため、山岳地帯では螺旋状に線路を敷設するなどの工夫が凝らされています。
- 多国籍の技術協力:建設にはイラン政府の主導のもと、ヨーロッパやアメリカなど多国籍の技術者や企業が協力しました。
世界遺産登録基準
- (ii) 異なる地域の技術や知識が交流し、融合した初期の大規模な共同事業の優れた例である。
- (iv) 険しい山岳地帯を克服するために用いられた高度な工学技術を示す顕著な見本である。