ヘラクレスの塔とは
ヘラクレスの塔は、スペイン北西部のガリシア州ア・コルーニャの港の入口に立つ灯台です。起源は1世紀のローマ時代に遡り、現在も稼働している世界最古の灯台として、またローマ建築の灯台として唯一現存するものとして、2009年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
ローマ時代から続く海の道しるべ
この灯台は、ローマ皇帝トラヤヌスの時代に「ファルム・ブリガンティウム」の名で建設されました。高さ55メートルの塔は、海抜57メートルの岩盤の上に建てられています。ローマ時代の基礎構造は現在も塔の下層部に残っており、その上部は18世紀にカルロス3世の命により、建築家エウスタキオ・ジャンニーニによって新古典主義様式で修復・増築されました。この修復は、古代の核となる部分を尊重しつつ、灯台としての機能を近代化させた優れた改修例として高く評価されています。
周辺の見どころ
灯台が立つ半島は公園として整備されており、古代から現代に至る様々な歴史的・文化的要素が見られます。
- 彫刻公園:ガリシアの芸術家による作品が点在する屋外美術館。
- モンテ・ドス・ビコスの岩絵:鉄器時代のものとされる岩面彫刻。
- イスラム教徒の墓地:歴史的な墓地。
登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたと評価されています。
- (iii) ヘラクレスの塔は、古代から続く大西洋の航路の歴史を物語る類いまれな証拠です。塔の構造は、ローマ帝国の様々な属州から集められた建築・工学の原則が、どのようにして大西洋の航路標識の創造に利用されたかを示しています。