ロワール渓谷とは
フランス最長のロワール川中流域に広がる、シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌの間の約280kmにわたる地域です。「フランスの庭」とも称される美しい自然景観と、そこに点在する数多くの古城(シャトー)が一体となった文化的景観が高く評価されています。
遺産の価値と登録基準
ロワール渓谷の価値は、ルネサンス期以降のフランス王国の歴史と文化を色濃く反映している点にあります。王侯貴族たちが築いた壮麗な城館群は、ゴシック様式からルネサンス様式への移行期における建築の発展を示しており、フランス文化の精髄とも言える場所です。
- 登録基準(i): シャンボール城など、ルネサンス期の思想と芸術が結実した人類の創造的傑作を含む。
- 登録基準(ii): ルネサンス期のイタリア芸術がフランスに紹介され、新たな芸術・建築様式が花開いた文化交流の地である。
- 登録基準(iv): 城館や庭園が一体となった文化的景観は、西ヨーロッパにおける思想とデザインの発展を物語る顕著な例である。
渓谷を彩る主な城館
ロワール渓谷には300を超える城館が点在しますが、中でも特に有名なものを紹介します。
城館名 | 特徴 |
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シャンボール城 | フランソワ1世が建設したフランス・ルネサンス建築の最高傑作。レオナルド・ダ・ヴィンチが設計に関わったとされる二重螺旋階段が有名。 |
シュノンソー城 | シェール川をまたぐように建てられた優美な姿から「6人の奥方の城」と呼ばれる。女性城主たちの歴史が刻まれている。 |
ヴィランドリー城 | ルネサンス様式の幾何学的なフランス式庭園が世界的に有名。愛の庭、菜園、水の庭などテーマごとに分かれている。 |
アンボワーズ城 | 王家の居城として使われた城。レオナルド・ダ・ヴィンチが晩年を過ごし、埋葬された場所としても知られる。 |
概要
所在地 | フランス、サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏、ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏 |
登録年 | 2000年 |
登録基準 | (i), (ii), (iv) |