乳香の交易路跡の写真

乳香の交易路跡

フランキンセンスの国土とは

「フランキンセンスの国土」は、オマーン南部にある古代の乳香貿易の繁栄を物語る遺跡群で、2000年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。この遺産は、乳香の木が生育するワディ(涸れ川)、隊商都市の遺跡、そして乳香を世界へ送り出した古代の港で構成されており、古代から中世にかけて最も重要な奢侈品の一つであった乳香の生産から交易までの一連の流れを今に伝えています。

世界遺産の登録基準

  • 登録基準(iii): 古代から中世にかけて南アラビアで栄えた乳香貿易を中心とする文明の、顕著な物証である。
  • 登録基準(iv): 乳香貿易の繁栄を物語る、中世の要塞化された港(ホール・ローリ、アル・バリード)や隊商のオアシス(シル)は、当時の通商活動の規模と重要性を示している。

遺産の価値と概要

この遺産の価値は、紀元前3千年紀から続く乳香貿易の歴史を包括的に証明している点にあります。乳香は、古代エジプト、ローマ、ペルシャ、インド、中国など世界各地で宗教儀式や香料、薬品として珍重されました。オマーン南部のドファール地方で生産された最高品質の乳香は、過酷な砂漠を越える「乳香の道」を通って各地へ運ばれ、莫大な富をもたらしました。遺跡群は、この国際交易ネットワークの中心地としての歴史的重要性を物語っています。

主な構成資産

構成資産 特徴
ワディ・ダウカ自然保護区 高品質な乳香の原料となるボスウェリア・サクラの木が自生する渓谷。
シル遺跡(ウバール) 「砂漠のアトランティス」とも呼ばれる伝説の隊商都市。乳香交易の拠点。
ホール・ローリ遺跡 古代の乳香積出港。要塞化された港湾都市の跡地。
アル・バリード遺跡 中世イスラム時代の主要な港。モスクや宮殿の遺跡が残る。

「フランキンセンスの国土」は、自然と人間の営みが織りなした文化的な景観であり、古代世界の経済と文化交流を理解する上で不可欠な遺産です。

乳香の交易路跡の基本情報

                         
国名 オマーン国
世界遺産の名称 乳香の交易路跡
遺産の種類 文化遺産
登録年 2000
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅲ)(ⅳ)
備考
範囲(ヘクタール)849.88
地図

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