タキシラ
パキスタンのパンジャブ州にある「タキシラ」は、古代ガンダーラ地方の中心都市として栄えた遺跡群で、1980年に世界文化遺産に登録されました。紀元前6世紀から紀元後5世紀にかけて、アケメネス朝ペルシャ、マウリヤ朝、ギリシャ系、クシャーナ朝など様々な王朝の支配を受け、「文明の十字路」と称される多様な文化が花開きました。特に仏教研究の中心地として広く知られています。
世界遺産登録基準
- 登録基準 (iii): 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。ガンダーラ地方における多様な文化の興亡を物語る比類なき証拠です。
- 登録基準 (vi): 顕著な普遍的意義を有する出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、文学的作品と直接または明白に関連すること。ガンダーラ美術の発展や仏教思想の伝播において、極めて重要な役割を果たしました。
遺産の概要と価値
タキシラの遺跡は、主に3つの異なる時代の都市遺跡(ビール・マウンド、シルカップ、シルスフ)と、周辺に点在する多数の仏教僧院やストゥーパから構成されています。ギリシャ風の都市計画が見られるシルカップや、保存状態の良い仏教美術が残るジャウリヤーン僧院など、各遺跡はヘレニズム、中央アジア、インドの文化が融合した「ガンダーラ美術」の宝庫です。古代における東西文化交流のダイナミズムを今日に伝える、非常に価値の高い遺跡群です。
主な構成資産
遺跡名 | 特徴 |
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ビール・マウンド | 最も古い時代の都市遺跡。不規則な街路が特徴。 |
シルカップ | ギリシャ人によって建設された、碁盤目状の都市計画を持つ遺跡。 |
ジャウリヤーン僧院 | ストゥッコ(化粧漆喰)製の仏像が多く残る仏教遺跡。 |
ダルマラージカー・ストゥーパ | タキシラで最大級のストゥーパ(仏塔)。 |